2021 Fiscal Year Research-status Report
分解性の向上による生体吸収性小口径人工血管の自家血管再生の促進
Project/Area Number |
21K20938
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
筒井 真博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00910267)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 小口径人工血管 / 生体吸収性素材 / 分解性 / 自家血管様再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床応用可能な小口径人工血管の開発を目標に本研究では分解性の向上に着目して、①ポリカプロラクトングラフト(PCLグラフト)の最適なスキャフォールド作成方法を確立し、②分解性の促進がPCLグラフトの自家血管再生とグラフト機能を向上させるかどうかをラットの移植モデルで明らかにすることを目標としている。 分解性を促進させる為にポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)などポリマーを任意の割合で含有させたスキャフォールドをナノファイバーを同時に紡糸する新たな方法で作成し、最適化を目指したスキャフォールドを作成し分解性を評価することを目的としている。 実験を始めるにあたり、まずは親水化ポリマーでコーティングしたPCL単独グラフトでラットの移植モデルを作成し、半年間後にサクリファイスして予定していた評価が可能かを確認した。サクリファイスして摘出したPCL単独グラフトで、HE染色でのグラフト内部に生着した細胞数の定量や免疫染色での内皮細胞や平滑筋層の定量は可能であり、脱細胞化させて電子顕微鏡での分解性の評価も可能であった。 予定では半年を最長の観察期間と設定したが、1年を観察期間としたラットも作成し半年でサクリファイスしたラットと評価することでPCL単独グラフトの分解性の情報が多くなり、続いて行うことを予定しているPGA、PLAなどを含有させて最適化したスキャフォールドでの評価のコントロールとして利用できることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCL単独での評価は行い、完遂可能であることを確認したが、PCLに他のポリマー(PLA,PGAなど)を含有させて分解性の促進に介入した実験に関してはまだ結果が出ている段階にはないため。
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Strategy for Future Research Activity |
PCL単独で予定していた評価項目が評価できることは確認できたため、分解性促進を目的としたPLA,PGAなどの他のポリマーを任意の割合で含有させたスキャフォールドで作成したグラフトでの評価を行っていく。 半年を最長の観察期間としていたが、1年を観察期間としたラットのPCL単独の移植モデルも作成したため、半年と1年での分解性の進行などの評価も追加で行う。これは可能であれば最適化スキャフォールでも同様の期間で行うように移植モデル作成を考慮する。
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Causes of Carryover |
PCL以外のポリマーを使用した実験に進めなかったため、予定していたよりも物品費が掛からなかった。次年度は学会発表などを見据え旅費にも資金を当てている。他のポリマーを使用する段階に実験が進むにつれ次年度は物品費が本年度よりも多くかかることが予測される。
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