2021 Fiscal Year Research-status Report
骨破壊病変を形成するがんの進展・骨からの血行性転移に於ける骨細胞の関与
Project/Area Number |
21K21016
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
谷本 幸多朗 徳島大学, 病院, 診療支援医師 (90908188)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨に発症するがんの進行は骨髄の微小環境(ニッチ)と密接に関連する。骨細胞は骨を構成する細胞の他大部分を占め、骨髄ニッチの制御に中心的な役割を担うことが近年明らかになり、骨破壊病変を形成するがんの一つである多発性骨髄腫でも、骨細胞が腫瘍の進行、血管新生、骨破壊を助長するニッチの形成に寄与することが示唆されている。ところが、これまでの報告では多発性骨髄腫におけるニッチの機能解析は遺伝子改変マウスを用いた証明がほぼなされていない。これは正常免疫を有した適切な多発性骨髄腫の同種移植モデルが確立されていないことが原因であり、世界的に多発性骨髄腫病態の全容解明に大きな障害となっている。本研究では、骨細胞が骨髄腫細胞の遠隔転移や進展に関与するかを、骨細胞を生体内で特異的にアポトーシスを誘導することができる独自のマウス骨髄腫細胞株同種移植モデルで検証し、将来的に骨細胞のアポトーシスを防ぐことで骨への骨髄腫やほかのがんの骨転移・進展を阻止し、予防する新規治療法を確立することを目的とした。本年度は成熟した骨細胞にジフテリア毒素受容体(DTR)を発現させたDmp1-HBEGFマウスにジフテリア毒素(DT)を投与したところ骨細胞を特異的に死滅させることができた。また、C57BL/6マウス由来の同種移植が可能な骨髄腫細胞株にLuciferaseを遺伝子導入することに成功し、In vivo Imaging System (IVIS)にて骨髄腫の進展状況がリアルタイムで確認することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではこれまでに骨細胞特異的にジフテリア毒素受容体を発現するマウスモデルを作成した。また、C57BL/6マウス由来の同種移植が可能な骨髄腫細胞株にLuciferaseを遺伝子導入することで腫瘍進展状況をリアルタイムで確認することが可能となった。本研究の目的は骨細胞を除去した同種移植骨髄腫マウスモデルを用いて腫瘍の遠隔転移・進展を制御する骨細胞の役割とメカニズムを解明していくことであり、当初の予定通り研究計画は概ね良好に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した骨髄腫細胞株を脛骨に移植し、ジフテリア毒素を投与して骨細胞をアポトーシスさせ、IVISイメージングと腫瘍マーカーIgG2bのELISAにより、腫瘍の位置と成長を経時的に追跡する。また、骨細胞のアポトーシスによる腫瘍細胞の遠隔転移への影響を形質転換マーカーE-cadherin、Snailの発現を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
学会発表が全てオンラインでの開催だったため旅費が予想より少額となった。また、抗体が予想より少額で購入できたため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて物品購入費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)