2021 Fiscal Year Research-status Report
セルフケア能力向上に向けた血液透析患者が“見通し”を持つプロセスの探求
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21K21163
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 佳代 岐阜大学, 医学部, 助教 (60910057)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 血液透析患者 / セルフケア / 見通し |
Outline of Annual Research Achievements |
血液透析患者は自己管理を行うにあたって、自分自身の今後について予測しながら必要な行動をとっている、つまり“見通し”を持っているという申請者の考えから、先行研究にて血液透析患者の見通しという新たな概念の生成および、セルフケア能力との関連を明らかにした。本研究は、“見通し”を活用した血液透析患者のセルフケア能力向上の新たな支援方法を検討するために、血液透析患者が見通しをどのようにして持つのか、そのプロセスを質的記述的に明らかにすることを目的とした。 令和3年度には、倫理審査委員会にて研究実施の承認を得た後、外来通院する血液透析患者を対象としてインタビュー調査を実施した。まず、調査施設の病院長・看護部長・透析療法室看護師長に研究概要を説明し、協力の同意を得た。研究対象に該当する患者を看護師長に選定していただき、文書を用いて研究内容を説明した。研究参加に同意を得られた患者にプライバシーの守られる個室にてインタビューガイドを用いた半構造化面接を行った。 インタビュー内容はICレコーダーに録音し、逐語録におこした。その際、個人が特定できるような内容は匿名化した。 本研究は分析手法として、修正版グラウンデットセオリーアプローチを使用している。令和3年度には、収集した逐語録データを繰り返し読み、インタビューで語られた内容を理解し、概念の生成を試みた。今後はデータ収集を継続し、生成した概念を比較検討することでカテゴリーを生成し、カテゴリー間の関係性からプロセスを導き出す予定である。また、真実性の確保として、慢性期看護の専門家であり質的研究の経験が豊富な研究者にスーパーバイズを受ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、4名の血液透析患者にインタビュー調査を行い、その内容を分析している。本研究で使用している修正版グラウンデットセオリーアプローチという手法による質的研究では、データ収集と分析を同時に進行し、理論的飽和に達したと判断した時点で調査終了とする。 現時点の分析で、研究協力者の語りに類似性・相違性ともに認めており、残り数名の調査で理論的飽和に達することが考えられる。質的研究では調査終了から結果を導き出すまでにそれほど時間を要しないため、本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、このままデータ収集と分析を継続して行い、調査終了後直ちに結果の取りまとめ作業に入る。データ収集をより円滑に進めるために、現在行っている調査施設の他に、もう一施設追加依頼し、調査を進める。 また、研究結果を学会もしくは論文で発表を行う。
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