2022 Fiscal Year Research-status Report
ハマキガのオスを殺す共生細菌ボルバキアの進化プロセスの解明
Project/Area Number |
21KK0105
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
井上 真紀 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80512590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (00912255)
神保 宇嗣 独立行政法人国立科学博物館, 標本資料センター, 副コレクションディレクター (10568281)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | ボルバキア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、茶樹害虫チャハマキのオスを殺すWolbachiaが、どのような進化プロセスを経てオス殺しに関わるプロファージWO領域を獲得したのか明らかにすることを目的としている。 2022年度は、チャハマキおよびその近縁種の分類について、種の記載の収集、タイプ標本に関するデータ収集、国立科学博物館に所蔵されている本属種の標本を用いて現状の把握作業を進めた。また、日本(石垣および与那国)および国外(インドネシアおよびオーストラリア)で野外調査を実施し、チャハマキおよび近縁種を採集した。WolbachiaおよびファージWOの特異的PCR検出およびゲノム解析から、チャハマキだけでなく近縁種にも、遺伝的に近縁なWolbachia株が広く感染していることが明らかになった。一方で、オス殺しに関わるプロファージWO領域は、台湾産チャハマキ以外からは検出されなかった。これらのことから、オス殺しプロファージ領域は、チャハマキに感染するWolbachiaにおいて新規に獲得されたことが示唆された。現在は、他の昆虫種由来のオス殺しWolbachiaのゲノムを解析することで、オス殺しプロファージ領域の起源を調査するとともに、ファージ移植実験に向けた準備を進めている。 得られた成果は、学術論文および日本応用動物昆虫学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外での調査も可能になるとともに、Wolbachiaのゲノム解析や論文の執筆も当初の想定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、チャハマキ以外の昆虫種由来のオス殺しWolbachiaのゲノムを解析することによりオス殺しプロファージ領域の起源を調査するとともに、ファージ移植実験を実施する。
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Causes of Carryover |
初年度のコロナの影響があるが、2023年度以降は海外への渡航に使用する予定である。
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