2023 Fiscal Year Research-status Report
A collaborative register-based study on the presentation, background factors, severity and outcomes of neurodevelopmental disorders in Asian countries
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21KK0145
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橘 雅弥 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 准教授 (10722952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (20362189)
水野 賀史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (50756814)
田口 佳代子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (50836921)
坂本 由唯 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (60770386)
廣澤 徹 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (80645127)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 神経発達症 / レジストリ / アジア / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では日本6センターと東南アジア(マレーシア,フィリピン,タイ,インドネシア)4センターの神経発達症患者データのレジストリを構築して,①NDDsの表現型とその発現時期②NDDsの表現型と発現時期を決める背景因子,③NDDsの重症度と予後,の3点に焦点づけて先行研究およびわが国を含むアジア各国の相互比較を行う。 2023年度は、各施設における患者データのレジストリへの登録を加速するとともに、レジストリに登録されたデータを用いて実際に①から③の解析を行うための準備を行った。具体的には、メールやzoomを用いたミーティングに加えて、研究代表者および国内研究協力者のチームで、マレーシア、タイ、インドネシアの各国を訪問し、各施設の共同研究者とレジストリに登録されたデータのデータクリーニング及びデータ登録に関する問題点の改善を図るとともに、および解析の視点の共有と分担についてディスカッションを行った。また、国内外の学会等において、本研究について紹介し、本研究後の更なる研究の発展について、外部の研究者と議論した。 具体的には、2023年8月にタイ・バンコクに渡り、マヒドン大学医学部ラマティボディ病院小児科と上記の検討を行うとともに、アジアオセアニア小児神経学会(AOCCN2023)で、参加者に取り組みを紹介した。またタイ南部・プリンスオブソンクラ―大とも連携を開始した。また、2023年11月にはインドネシア・インドネシア国立大学とマレーシア・マラヤ大学を訪問し、それぞれデータ登録の問題点の解決と解析の方向性についてディスカッションした。2024年1月にはオンラインで国際シンポジウムを開催し、日本6センターと東南アジア4センタ―からそれそれ報告があり、2024年度の活動と解析の方針についての議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を上回るレジストリへの患者登録が各参加施設からあり、既に3000人を超える患者がレジストリに登録されている。このうち過半数をしめる大阪大学からの登録分についてはデータクリーニングが完了し、また各施設からの登録症例に関してもデータクリーニングを進めている。2023年度は、登録データをベースにして、どこに注目したどのような解析を、どの参加施設が主導して分析するかについてのディスカッションを行い、2024年度の共同解析・論文化に向けた準備を行った。 さらに、本レジストリの共同研究の枠組みをベースに、国際連携相手が広がり、若手を含めた新たな共同研究にもつながった。欧米との比較のために米国の研究者とのコネクションを作っただけでなく、タイ・プリンスオブソンクラ―大学からは、視察団を受入れ、同大学とはレジストリだけでなく、地域支援についての共同研究が大阪大学の若手研究者との共同研究として始まった。また、インドネシアでは本学博士課程学生とジャカルタ州立大学との間で、養育者支援のための遠隔支援教材の開発が始まった。さらにさくら招聘プログラムを活用して、中国・上海交通大学からの若手研究者および医師の見学を受入れ、同大学グループから2024年度には連合小児発達学研究科への留学が決まっている。また、マレーシア・マラヤ大学からは、3月に本研究の共同研究者がクロスアポイントメントで教員として来日し、解析方法や時期などについて、国内参加6施設のうち3施設を訪問して詳細なディスカッションを行った。このように本研究の順調な進捗だけでなく、国際共同研究の広がり、とくに若手研究者の国際共同研究のきっかけになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度であり、レジストリで収集したデータを解析してアウトプットに注力する。2023年度のディスカッションにおいて、参加各施設がそれぞれ自施設のデータを解析するだけでなく、それぞれ中心となって解析を行うテーマを決めて、国際比較解析、論文化に向けた準備を進めて行くことになっている。5月にzoomでの全体ミーティングを予定しており、その後それぞれの施設で解析と論文作成に取り組み、国際共著論文を作成するとともに成果を国際学会で発表していく。さらに、タイ、マレーシア等からの若手研究者を4月、10月に大阪大学で2週間ずつ受け入れるほか、国内6施設の若手研究者および大学院生を東南アジアの各施設に派遣して共同解析に参加させ、若手の人材育成を加速する。本研究の期間終了後もレジストリデータを活用した研究、および本研究の国際協力の枠組みを活用した国際共同研究を発展させるため、次年度以降の国内外の研究グラントの獲得をめざす。
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Causes of Carryover |
2023年度は、当初フィリピンに渡航して、現地でのデータクリーニングやデータ入力システムの改善を図る予定であったが、フィリピン側施設の事情により実現しなかったこと、国内外でのデータ入力に関わる費用が、予定より少額ですんだために次年度使用額が生じた。2024年度は、各施設での解析と論文化を推進するために、解析費用と論文投稿費用などが生じるため、このための費用に充当するとともに、大学院生を解析に参加させて各施設での解析補助に従事させるための費用に充てる予定である。
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