2011 Fiscal Year Annual Research Report
海半球計画の新展開:最先端の海底観測による海洋マントルの描像
Project/Area Number |
22000003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
歌田 久司 東京大学, 地震研究所, 教授 (70134632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 大輔 独立行政法人海洋研究開発機構, その他部局等, プログラムディレクター (20359178)
塩原 肇 東京大学, 地震研究所, 准教授 (60211950)
川勝 均 東京大学, 地震研究所, 教授 (60242153)
一瀬 建日 東京大学, 地震研究所, 助教 (60359180)
馬場 聖至 東京大学, 地震研究所, 助教 (70371721)
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Keywords | 海洋マントル / リソスフェア / アセノスフェア / マントル遷移層 / 海底観測 / 最先端技術 |
Research Abstract |
平成23年8月に予定されていた海洋研究開発機構の研究船「かいれい」による観測航海は、東日本大震災の影響で11月に延期して実施された。航海では、従来型の広帯域海底地震計(BBOBS)と海底電磁力計(OBEM)をそれぞれ8台づつ、本研究の対象海域(北西太平洋)に設置した。また、前年6月に設置した装置のうちBBOBSおよびOBEMそれぞれ1台を回収することに成功した。しかし、同海域における11月の海況を考慮して、無人探査機「かいこう7000II」を利用した新型の海底地震計(BBOBS-NX)と海底電位差計(EFOS)の設置は、次年度(平成24年度)に実施することにした。平成24年度の航海の申請は採択され、8月に実施されることが内定した。 回収した装置が記録したデータは良好で、地震計には東北地方太平洋沖地震時の波形記録も明瞭に記録されていることが確かめられた。また、電磁力計には津波に伴う電磁場変動が記録されており、津波シミュレーションと組み合わせた数値モデルでその発生機構を明らかにすることができた。 一方、既存の観測データの収集および解析を進めるとともに、「ふつうの海洋マントル」の物性モデル構築へ向けて室内実験および数値モデリングを進めた。有機物多結晶体の非弾性特性および粘性を、粒径と温度の関数として系統的に測定し、多結晶体の非弾性特性に成り立つ相似則を確立した。また、新たなデータ解析手法の開発にも取り組み、海底地形の効果を正確に考慮した3次元電気伝導度インバージョン解析手法を開発した。これらを含む研究成果は、国際学術誌の論文や国内外の学会等での発表により公表した。研究者向けのホームページおよび一般向けのホームページを通じた情報発信を継続して行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的を達成するためには、海底観測機器を西太平洋に設置して長期観測を行ってデータを取得する必要がある。しかし、平成23年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生したために、8月に予定していた航海が11月後半に延期され、航海日数の短縮により予定の一部しか実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は東日本大震災の影響で、研究船による航海が予定通り実施できなかったが、次年度の研究船による航海は確保されている(平成24年8月17日~9月5日)ので、研究実施期間内に十分なデータを取得することが可能である。また、既存データの解析・解析手法の開発・物性実験などは順調に推進できている。
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