2012 Fiscal Year Annual Research Report
海半球計画の新展開:最先端の海底観測による海洋マントルの描像
Project/Area Number |
22000003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
歌田 久司 東京大学, 地震研究所, 教授 (70134632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川勝 均 東京大学, 地震研究所, 教授 (60242153)
塩原 肇 東京大学, 地震研究所, 准教授 (60211950)
馬場 聖至 東京大学, 地震研究所, 助教 (70371721)
一瀬 建日 東京大学, 地震研究所, 助教 (60359180)
末次 大輔 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, プログラムディレクター (20359178)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海洋マントル / リソスフェア / アセノスフェア / マントル遷移層 / 海底観測 / 最先端技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年8月に実施した海洋研究開発機構の研究船「かいれい」による観測航海により、本研究の当初計画通りの全観測機器の設置が完了した。また、同航海では平成22年6月に設置した機器の内、平成23年11月に回収できなかった、新型のBBOBS-NXを2台と、通常型の機器(BBOBSを2台、OBEMを3台)を回収する事ができた。こうして回収したデータの解析により、BBOBS-NXのデータの質の高さを改めて実証する事ができた。BBOBS-NXおよびBBOBSのデータを用いた予備的な表面波トモグラフィー解析によれば、観測対象地域の上部マントルの構造はほぼ「標準的」であることが確かめられた。OBEMのデータにより、同海域下のマントルの平均的一次元電気伝導度構造を求め、先行プロジェククトで得られている他地域の電気伝導度構造を比較したところ、海洋底年代が約一億三千万年である本研究海域のマントルと、約一億五千万年のマリアナ東方の西太平洋下のマントルとの間に、単純な年代依存性だけでは説明がし難い程の構造の違いがあることが判明した。この違いについては、既存のデータ収集を行なってさらに詳しく調べる予定である。また、2011年東北津波に伴う電磁場変動が複数の観測点で明瞭に記録されている事がわかった。津波シミュレーションと3次元電磁気モデリングを結合させた新しい計算手法を開発し、津波の誘導による電磁場変動を定量的に見積もる方法を確立した。夏休みの子供向けの企画を実施した。研究者向けのホームページおよび一般向けのホームページを通じた情報発信を継続して行なった。 平成25年8月に、民間の作業船「かいゆう」による傭船航海を実施して、予定通り通常型装置の設置・回収を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り観測機器の設置を行なう事ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回設置した通常型の装置(BBOBSとOBEM)は、電源容量の関係で1年後に回収して新しい装置と入れ替える必要がある。当初そのための航海は平成24年度に傭船によって行なう予定であったが、十分な観測期間を確保するため、傭船航海を次年度(平成25年度)に実施した。平成26年度には、研究船「かいれい」と傭船による2航海を実施して、全ての機器の回収を行なう。航海終了後は速やかにデータ解析を進め、室内実験の結果等と統合して最終結果を得る予定である。
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