Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 秀直 京都大学, 医学研究科, 教授 (90181297)
船橋 新太郎 京都大学, こころの未来研究センター, 教授 (00145830)
渡辺 正孝 (財)東京都医学研究機構, 東京都立神経科学総合研究所, 特任研究員 (50092383)
西條 辰義 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (20205628)
苧阪 満里子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (70144300)
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Research Abstract |
本研究の目的は,豊かな社会脳を育む脳の機構を,最先端の脳研究手法をもちいて解明することである。単一神経細胞の活動を微小電極を用いて測定する一方で,脳全体の活動を機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて測定し,垂直的に脳の働きを調べ統合することで,社会脳を支える神経メカニズムの全貌を明らかにすることを目指す。平成22年度は,報酬期待やデフォルトモードネットワーク,そしてトップダウンの注意制御と関わる神経基盤を,種々の認知神経科学的手法を用いて検討した。電気生理学的手法を用いた研究では,高次認知活動や社会活動と密接に関係する報酬期待が,前頭前野内の神経細胞により表現されていることを見出した。また,我々の内的思考や自己認識とも深く結び付くデフォルトモードネットワークを対象とした研究においては,ヒトに限らずサルにおいてもデフォルトモードネットワークが形成されている可能性を示した。fMRIおよびTMS(経頭蓋磁気刺激)を用いた研究では,ワーキングメモリネットワークを形成する前頭前野や頭頂皮質の役割について詳細な検討を進め,前頭前野背外側部がトップダウン制御の役割を担うことや,頭頂皮質の機能分化を明らかにした。さらに,心の理論課題においても,他者の意図推定が複雑になるにつれて,前頭前野背外側部の活動が上昇することを示すデータが得られた。これらの研究成果は,前頭葉を中心としたトップダウンの注意制御機構が,社会脳が円滑に機能する上で非常に重要な役割を果たすことを示唆するものである。
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