2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22220012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 冬木 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30184493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋谷 彰 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40334495)
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Keywords | ゲノム不安定性 / テロメア / 皮膚発がん / 次世代シーケンサー |
Research Abstract |
本年度は、我々が新規に同定報告したヒト1本鎖DNA結合蛋白質CST (Ctc1-Stn1-Ten1)複合体が染色体の安定化性維持において果たす役割を解析し、また、Ctc1ノックアウトマウスを樹立した。既に、CST複合体構成因子Stn1の遺伝子発現をノックダウンすると、1本鎖テロメアG鎖が伸長し、テロメア損傷反応が生じるが、細胞の増殖能には特に大きな影響を与えないことを報告してきた。今回、相澤慎一博士との共同研究により、Ctc1遺伝子を誘導性にノックアウトすることができるマウス線維芽細胞(MEF)を調製した。Ctc1ノックアウトMEFは、対照細胞と比較して増殖能が著しく低下することを見出した。Ctc1ノックアウトMEFをパピローマウイルスE6およびE7あるいはSV40ウイルスT抗原でトランスフォームさせると、細胞増殖能が部分的に回復したことから、正常MEF細胞でCtc1遺伝子を欠損させた場合にみられる増殖能の低下は、E6, E7あるいはT抗原が標的とするp53やRb遺伝子を介したチェックポイント機構あるいはアポトーシスによるものと考えられた。以上の結果は、CST複合体がテロメア機能維持に必要であることを示しているが、ノックアウト細胞が増殖能を著しく低下させるため、当初計画をしていたCtc1ノックアウトマウスをそのまま用いた発がん実験は困難であることが分かった。一方、アフリカツメガエルCST複合体を同定し、その卵抽出液を用いて試験管内にてCST複合体の機能を明らかにする実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CST複合体の機能については、Ctc1ノックアウトマウスを調製できた。その表現型は予想以上に強いものであったが、この研究材料を用いることで、哺乳類CSTの生物学的機能を明らかにする研究が飛躍的に進むものと期待される。また、アフリカツメガエル卵抽出液を用いて、CST複合体の構成要素あるいは結合蛋白質を特異的に免疫除去し、DNA複製に及ぼす影響を明らかにする実験が進んでいる。以上より、近い将来に、CST複合体の染色体維持における役割を明らかにすることが可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Ctc1ノックアウトマウスについては、Flox-Cre系を用いて誘導的にノックアウト細胞を作成することができるので、ノックアウトマウス由来MEF細胞を用いたCtc1遺伝子の欠損前後における表現型を詳細に観察する。また、組織特異的にCreを発現させるマウスと交配することによって、組織特異的Ctc1欠損マウスを作成し、発がん実験に供することができるか否かを検討する。アフリカツメガエル卵抽出液を用いたCST複合体の解析については、卵抽出液中でDNA複製の各ステップを再構成できる系の利点を応用して、DNA複製のどのステップでCST複合体が必要とされるのかを明らかにする。
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Research Products
(16 results)