2010 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海と北太平洋亜寒帯域をつなぐ熱塩/物質循環システムの実態解明
Project/Area Number |
22221001
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
若土 正曉 北海道大学, 名誉教授 (60002101)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三寺 史夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20360943)
江淵 直人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10203655)
中村 知裕 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (60400008)
西岡 純 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (90371533)
渡邉 豊 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (90333640)
|
Keywords | 海洋熱塩循環 / 物質循環 / 中層鉄輸送 / 潮汐混合 / 高生物生産 |
Research Abstract |
オホーツク海と北太平洋をつなぐ熱塩循環/物質循環の解明を目指し、データに基づくオホーツク海中層循環・物質循環の解析、および、数値シミュレーションを行った。具体的には以下のとおりである。 ロシア水文気象研究所と協力し、未公表データを含む新たなオホーツク海データセットを作成した。従来に比して2倍以上のデータ量があり、1940年代からの解析が可能となった。オホーツク海中層の水温は1950年代に大きく低下した後、50年代後半から上昇に転じ、現在の中層水温暖化につながっている。この50年代の急激な中層水温低下は、オホーツク海東部および北西陸棚域の高塩化と対応しており、北太平洋からの高塩水流入強化に伴う、高密度水形成量の増加が示唆された。一方数値実験によると、50年代後半から現在にかけての温暖化において、80年頃までは北太平洋からオホーツク海中層への高温水流入の増加、80年以降は海氷の減少による高密度水形成量の減少が主な要因であることを示した。 さらに、千島海峡における混合過程が栄養物質の循環に果たす役割の一部が明らかになってきた。オホーツク大陸棚の影響を受けた密度層26.6~27.5σ_θの高鉄濃度の水塊は、ブッソル海峡から流出し、親潮域・混合域の中層にも影響を与えていた。ブッソル海峡で観測した鉄濃度鉛直分布は、表層から中層にまで濃度の高い分布を示しており、海峡における強い鉛直混合の影響で、中層の鉄が広い深度層へ再分配されていることが確認された。 これらの結果は23年度にオホーツク海東部・東カムチャツカ沖で実施される海洋観測の基礎となる。
|