2013 Fiscal Year Annual Research Report
グリーンランド深層氷床コアから見た過去15万年の温暖化とその影響評価
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22221002
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
東 久美子 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (80202620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 秀二 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (30250476)
川村 賢二 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (90431478)
植竹 淳 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構, 新領域融合研究センター, 融合プロジェクト研究員 (40455473)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | グリーンランド / 氷床コア / 温暖化 / 環境変動 / NEEM |
Research Abstract |
1.NEEM深層コア試料の一部についてイオンの再測定を行なった。最終間氷期において陸域生物起源のイオンは濃度が増加していた。しかし、一時的に濃度が低下する時期があり、最終間氷期にアメリカ大陸において、寒冷期があった可能性を示唆する。 2.平成25年11月に国立極地研究所に納入された希ガス分析用の質量分析計の立ち上げと精度確認、分析手法の開発を実施した。配分されたNEEMコアの完新世の試料につき、窒素および酸素、アルゴンの同位体比および濃度比を分析し、2009年掘削のコアについて気体ロスに関する知見を得た。スクリップス海洋研究所に保管してあった希ガス分析用コア試料のうち、2010年掘削の試料を日本に輸送した。 3.NEEMフィルンを用いたマイクロ波誘電率の計測結果をとりまとめ論文化し、投稿し、現在査読中である。また、24年度に蓄積した物理解析のデータを分析し、堆積環境と、その結果としてできあがるフィルンの構造を調査した。この結果、固体微粒子が変形に及ぼす役割に関する考察も上記投稿論文に含めた。 4.蛍光顕微鏡を用いてNEEMコア中の微生物数を計測した。これまで分析の行われていなかった深度602mから1483m、2094m-2176mを対象に蛍光染色試薬で染色された微生物を計測した。深度1300m以上では、それ以深に比べて微生物濃度が均一に低い事が示さた。この深度では鉱物粒子も顕著に濃度が低い事から、アイスコア中に含まれる微生物の多くは鉱物粒子と同様に飛来してきている事が示された。一方で、濃度の高い時期でも微生物と鉱物粒子や化学成分の高濃度層は完全には一致しない事から、おおまかには鉱物粒子等の他の物質と共に輸送されてくるものの、微生物の氷床上への飛来ー堆積の詳細なプロセスは鉱物粒子とは異なる事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の通り、概ね順調に進展している。 1.イオン分析はほぼ終了しており、現在データの国際比較による最終データセットの作成中である。 2.国立極地研究所における気体分析は順調に進んでおり、新しい質量分析計の立ち上げと手法開発も順調である。今後の分析によって氷床表面状態や平均海水温、年代等に関する知見が得られる見込みである。 3.微生物解析については、予定されていた、これまで分析が行われていなかった深度602mから1483mのサンプルの分析をおこない、氷期間氷期サイクルにおける微生物濃度の変化を計測する事ができた。 4.物理解析については、当初の目的をほぼすべて達成し、論文投稿・査読に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今後は得られたイオンのデータを用いて論文を執筆する。 2.新しい質量分析計の立ち上げと分析手法の開発を終了し、NEEMコアの希ガスや窒素の同位体と濃度比を分析する。また、昨年度に続き、窒素、酸素、アルゴンの同位体比や濃度比の分析を実施する。最終間氷期の試料のメタン濃度を分析し、表面融解や年代決定に関する知見を得る。取得した気体分析データをとりまとめて論文化する。 3.前年度までに得られた微生物量の深度分布から、微生物濃度が高かった部位を中心に高時間分解能で分析を行い、その他の分析結果(鉱物粒子濃度、イオン濃度、微生物遺伝子の多様性)との詳細な比較をする。また、メタンガス濃度のピーク周辺で、微生物濃度の計測を行い、メタン生成に寄与している可能性のある微生物の検出を行う。 4.フィルンの圧密と変形の実態をさらに明らかにするために結晶主軸方位分布、気泡・空隙や氷の形状の計測を行なう。南極のフィルンを用いた同様の計測との比較を実施し、グリーンランドと南極のそれぞれでのフィルンの構造的な特徴を明らかにする。
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Research Products
(28 results)
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[Journal Article] Fabric measurement along the neem ice core, greenland, and comparison with grip and ngrip ice cores2014
Author(s)
Montagnat, M., Azuma, N., Dahl-Jensen, D., Eichler, J., Fujita, S., Gillet-Chaulet, F., Kipfstuhl, S., Samyn, D., Svensson, A., and Weikusat, I.
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Journal Title
The Cryosphere Discussion
Volume: 8
Pages: 307, 335
DOI
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[Journal Article] Kinetic fractionation of gases by deep air convection in polar firn2013
Author(s)
Kawamura, K., Severinghaus, J.P., Albert, M.R., Courville, Z.R., Fahnestock, M.A., Scambos, T., Shields, E. and Shuman, C.A.
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Journal Title
Atmospheric Chemistry and Physics
Volume: 13
Pages: 11141, 11155
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Insolation-driven 100,000-year glacial cycles and hysteresis of ice-sheet volume2013
Author(s)
Abe-Ouchi, A., Saito, F., Kawamura, K., Raymo, M.E., Okuno, J., Takahashi, K., Blatter, H.
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Journal Title
Nature
Volume: 500
Pages: 190, 193
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 気候変化における北極と南極の応答と役割:過去と将来2013
Author(s)
阿部彩子, 斎藤冬樹, 吉森正和, 小室芳樹, 大石龍太, 渡部雅浩, 大垣内るみ, 高橋邦夫, 鈴木香寿恵, 川村賢二, 野沢徹
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Journal Title
天気
Volume: 60
Pages: 901, 908
Peer Reviewed
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[Journal Article] Causes of Greenland temperature variability over the past 4000 years: Implications for Northern Hemispheric temperature change2013
Author(s)
Kobashi, T., Goto-Azuma, K., Box, J.E., Gao, C-C., Nakaegawa, T.
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Journal Title
Climate of the Past
Volume: 9
Pages: 1, 18
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 氷床コアと海底コアの年代同期2014
Author(s)
川村賢二、青木周司、中澤高清、阿部彩子、齋藤冬樹
Organizer
2013年度古海洋・古気候に関するシンポジウム
Place of Presentation
東京大学大気海洋研究所(柏市)
Year and Date
20140107-20140108
Invited
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[Presentation] Seasonal variations of black carbon and ionic species at NEEM, Greenland2013
Author(s)
Kumiko Goto-Azuma, Yoshimi Ogawa, Remi Dallmayr, Yutaka Kondo, Sho Ohata, Nobuhiro Moteki, Martin Irwin, Motohiro Hirabayashi, Hironobu Yamada, Hiroyuki Enomoto, Hideaki Motoyama, J. P. Steffensen, Dorthe Dahl-Jensen
Organizer
Davos Atmosphere and Cryosphere Assembly (DACA-13)
Place of Presentation
ダボス国際会議場(スイス)
Year and Date
20130708-20130712
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