2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22222003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹沢 泰子 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70227015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 美保 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40432059)
高階 絵里加 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80324698)
日下 渉 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80536590)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 人種 / 人種主義 / 差別 / 表象 / 科学言説 / マイノリティ / エスニシティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、可視的・非可視的双方の人種の表象についてグローバルな観点から共同研究を行い、日本から発信することである。特に日本やアジアにみられる非視覚表象にも着目し、既存の欧米中心的な枠組みを打破することを心がけてきた。こうした問題意識から、本年度事業としては以下のような研究会を実施した。 人文科学研究所における共同研究として、6月に日下渉とCatherine Ceniza Choyが、フィリピンとアメリカの人種関係について報告を行った。9月には、Stephen Murphy-ShigematsuとMary Yu Danicoが、ミックスト・レイスと韓国系ディアスポラについて報告した。また、本科研研究員の企画により、連続ワークショップ「Crossing Boundaries: Art and History」が開催されるようになった。 研究成果の国際的発信も積極的に行った。12月には、三部構成の国際シンポジウム「人種神話を解体する」を開催した。Takashi Fujitani、斉藤綾子、金仲燮、Ariela Gross、日下渉、Arnaud Nanta、石井美保、竹沢泰子・加藤和人・太田博樹、Duncan Williams、成田龍一、高美みか、工藤正子が報告した。平成24年度繰り越し事業として、平成25年5月には、竹沢泰子、河合優子、斉藤綾子、板垣竜太が、オーストラリアのMonash Universityにて同大学と共催した国際セミナー「Rethinking Race/Racism from Asian Experiences」に参加し、報告した。7月・10月には二回にわたって国際シンポジウム「アジアとアメリカの<帝国>を越えて」を開催し、Nikhil Pal Singh、蘭信三、東栄一郎、Edward Park、Edward T. Chang、外村大らが報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成21年1月に本科研の成果の一部として刊行した英語論文集、Racial Representations in Asia (Kyoto University Press/ Trans Pacific Press)は、海外の研究者によって引用される頻度が増えてきた(e.g. Theory in Social and Cultural Anthropology: An Encyclopedia のRaceの項目)。平成24年度は、海外での発信、国内での国際会議での発信に重点を置いた研究活動を行ってきた。まず、平成24年12月に2日間にわたって国立京都国際会館で国際シンポジウム「人種神話を解体する」を開催し、その成果は、東京大学出版会から全3巻の論集「人種神話を解体する」を出版すべく準備を進めている。平成24年7月に国際セミナーNikkei Studies and Beyondを京都大学東京オフィスで開催し、それ以前にも開催した関連シンポジウム・セミナー(計4回)の成果は、英語論文集Transpacific Japanese American Studies: Conversations on Race and Racializationsとして、University of Hawaii Pressからの出版に向けて準備を進めた(出版確定)。「人文学とゲノム研究のインターフェイス」については、過去の3回の文理融合のワークショップの成果に基づいて、"Human Genetic Research, Race, Ethnicity and the Labeling of Populations: Recommendations Based on an Interdisciplinary Workshop in Japan" と題した共著論文を国際ジャーナルBMC Medical Ethnicに投稿した(平成26年4月刊行)。このほか、年間15回程度の国際シンポジウム・国際セミナー・研究会等を初年度から毎年開催し、年次報告書(計4冊)とは別に、別冊も計10冊刊行している。また平成24年4月に開催した日本学術会議との共催シンポジウム「中等教育でまなぶ「人種」と「民族」とヒトの多様性」を含めて、日本学術会議との2度シンポジウムを共催し、一般向けに研究成果を発信した。
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Strategy for Future Research Activity |
学術書の出版:(1)シリーズ『人種神話を解体する』竹沢泰子(編集責任)東京大学出版会の準備を進める (第1巻『I nvisibility 「見えない人種」の表象』、第2巻『Knowledge 科学と社会の共生産』、第3巻『Hybridity 「血」の政治学を越えて』 )。(2)英語論文集 Racialization and Resistance among Japanese Americans, Yasuko Takezawa and Gary Okihiro eds., の修正(2016年University of Hawaii Pressより刊行予定)。(3) 英語論文集Race Beyond the Western Paradigm, Yasuko Takezawa ed.の準備 国際シンポジウム:(1) Engaging Race and Racism in the New Millennium: Exploring Visibilities and Invisibilities 国際人類学民族学会議 IUAES 日本文化人類学会50周年記念事業、平成26年5月、幕張メッセ。(2)Race and Ethnicity in East and South Asia,「東アジア・南アジアにおける人種・エスニシティ」平成27年1月、デリー大学において共催予定。その他、文理融合セミナー「人文学とゲノム研究のインターフェイス Part III」など。
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Research Products
(21 results)