2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22223004
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
宮川 努 学習院大学, 経済学部, 教授 (30272777)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺羽 茂 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60222593)
細野 薫 学習院大学, 経済学部, 教授 (80282945)
尾崎 雅彦 独立行政法人経済産業研究所, その他部局等, 研究員 (50470068)
|
Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
|
Keywords | 経済統計学 / 無形資産 / 生産性 |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度までにおこなったmanagement practicesに関するインタビュー調査及び無形資産に関するアンケート調査の結果に基づいた分析を本格化させるとともに、先行して進めてきた分析については、学会報告や専門誌への掲載を行った。 宮川は、上場企業での無形資産の推計を行い、その無形資産を含む企業価値を計測した論文を、(独)経済産業研究所のDiscussion paperとして公表するとともに、第9回 Asia Pacific Economic Association 2013 Conference(大阪大学)(平成25年7月)や第13回Comparative Analysis of Enterprise Data Conference(アトランタ連邦準備銀行)(平成25年9月)などの国際コンファレンスにおいて報告を行った。またインタビュー調査から導出される経営スコアとR&D活動との関係を調べた論文を、東京大学金融教育センター・日本銀行共催のコンファレンス(平成25年11月開催)で報告するとともに、これを平成26年3月に日本銀行のWorking paperとして公表した。 浅羽は、川上帝京大学准教授とともに、management practicesに関するインタビュー調査を利用して、この調査から導き出された経営スコアと企業価値の関連を調べた論文を(独)経済産業研究所のDiscussion paperとして公表し、それを『組織科学』に発表した。 細野は、無形資産と資金調達の関係を調べているが、平成25年度は、東日本大震災後の東北地域での企業の再建に関して、金融機関が企業の経営資源のどの部分を評価していたという、より具体的な問題を通して研究を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核をなす無形資産に関するインタビュー調査に関しては、平成23年3月に起きた東日本大震災によって、その実施が危ぶまれたが、平成24年度末には、補足調査も含めて無事予定通り終了することができた。 平成25年度は、これらの調査を元に研究成果を論文化し、その成果を内外のコンファレンス等で公表していくことを予定していた。このうち当初予定していた日韓の企業行動に関する国際コンファレンスについては、すでに平成24年12月にLeeソウル大学教授、Bounfourパリ第11大学教授と共催で、欧米の研究者も含めて前倒しでワークショップを開催し、その中で我々のインタビュー調査の初期の結果を報告している。このワークショップの報告論文は、現在Bounfour教授と宮川との共編で、Springer社からの出版化が進められており、そこに収録される宮川や浅羽教授らの論文には、平成23年度に実施されたインタビュー調査の結果も含んだ改訂が行われている。また別途上場企業を対象とした無形資産の計測とそれを利用した分析についても、研究実績で述べた国際コンファレンスでのコメントを元に改訂を行い、やはりSpringer社からの出版物に収録される予定である。 一方、産業別無形資産投資の計測については、平成24年1月から3月に行われた無形資産に関する調査を元に、独自の無形資産償却率を算出し、これに基づいた無形資産ストックの推計を、延長推計とともに実施している。 以上インタビュー調査を元にした研究成果の作成と改訂や、産業別無形資産の改訂は、当初の研究計画における平成25年度の研究と、ほぼ対応していることから、研究はおおむね順調に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、研究の最終年に当たるため、本研究の総括的な活動を行う予定である。まずマクロ・産業別の無形資産投資の推計については、平成26年5月に東京で開かれる、Jorgenson ハーヴァード大学教授、Timmerフロニンゲン大学教授、深尾一橋大学教授が主催する第3回World KLEMS Conferenceにおいて、欧米主要国、韓国、日本の無形資産投資推計に関する報告セッションを組織し、それぞれの成果を比較することにする。ここでの報告論文のいくつかは、英文の書物として出版が予定されているため、日本の無形資産に関する論文も採択されるよう、水準の高い論文を作成する予定である。 一方ミクロ面での成果については、昨年度からBounfour教授と進めているSpringer社からの出版を進める。 さらにマクロ・産業・ミクロ面の成果をすべて合わせた和文の出版物も企画している。この出版物では、第3回World KLEMS Conferenceで報告予定のマクロ・産業別の無形資産投資の新たな計測結果を紹介するとともに、これまでこの研究で実施してきた数々の調査の概要を報告する。またその調査結果を利用した分析についても、平成25年度に日本銀行で報告した研究開発行動と経営管理の論文を初めとして、6~7本の論文掲載することを予定している。この和文の出版物については、平成26年9月頃にブック・コンファレンスを開催し、宮川だけでなく、研究分担者である浅羽教授、細野教授と共同で編集作業を行う予定である。
|
Research Products
(19 results)