2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22224006
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 礼三 独立行政法人理化学研究所, 加藤分子物性研究室, 主任研究員 (80169531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 尚也 東邦大学, 理学部, 准教授 (40316930)
山本 浩史 分子科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30306534)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 分子性導体 / 強相関電子系 / ディラック電子系 / 電界効果トランジスタ / 光誘起相転移 / モット転移 / 電荷秩序 / 圧力効果 |
Research Abstract |
新規デュアルπ電子系(Et-4BrTz)[Ni(dmit)2]2は1 GPaの圧力下において負の磁気抵抗を示す。しかしながら、常圧下においては低温で絶縁化し磁気抵抗が計測不可能であるため、我々はマイクロ波領域の空洞共振器摂動法を用いて磁気抵抗測定を行った。その共振周波数とQ値の磁場依存性から、約1%の負の磁気抵抗を示す事がわかり、常圧下でもデュアルな機能をもった層間に強い相互作用があることが判明した。 光異性化による電気二重層生成を低温において実現し、これを用いた有機強相関パイ電子系への光誘起キャリアドーピングに成功した。その結果、紫外光により超伝導相を、可視光により絶縁相を生み出す光スイッチが実現された。 多層ディラック電子系であるα-(BEDT-TTF)2I3へ接触帯電法でキャリアを注入し、ディラック電子系に特有の量子磁気抵抗振動と量子ホール効果を7Tまでの磁場下で観測することに初めて成功した。今年度は、磁場領域を14Tまで測定領域を広げ、N=-1ランダウ準位のスピン分裂に伴う量子ホール効果を観測することに成功した。特に、10T以上の磁場下でバレーの縮重度が破れることを見出した。これは、クーロン相互作用がこの系に重要な役割をしていることを示す結果である。 ダイヤモンドアンビルセルを用いた分子性結晶の超高圧下輸送現象研究では、分子性導体β'-(BEDT-TTF)2ICl2の超高圧下電気抵抗測定から、我々の測定手法では非常に高圧まで静水圧性が保たれていることを証明した。さらに、絶縁性単一成分分子性結晶[Ni(dmit)2]の電気抵抗を25.5GPaまで測定し、16GPa以上の圧力で金属になることを発見した。また、第一原理手法を用いて圧力下でのバンド計算を行い、16GPaで二次元および三次元フェルミ面が現れ、理論的にもこの金属状態を証明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.強磁性と反強磁性とが共存するデュアル機能π電子系の発見、2.超高圧による単一成分分子結晶Ni(dmit)2の金属化と第一原理計算による高圧下電子状態の解明、3. 伝導度と透過率の同時測定による光誘起絶縁体-金属転移の観測、4.電場誘起超伝導の実現、5.多層ディラック電子系における量子ホール効果の観測は、当初の目標に見合う進展である。特に、4と5を達成できたことは、今後のさらなる発展を考えると、非常に大きな意義がある。 さらに、光電子分光による「π電子系金属におけるフェルミ端の観測」、ガス加圧式輸送現象測定装置を用いた「π電子性Valence bond秩序系におけるモット転移の普遍性クラスの解明」、「光異性化による低温における電気二重層生成」に関しては、予定以上の成果と言える。 平成25年度研究進捗評価結果は、「A+」であった。
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Strategy for Future Research Activity |
科学的観点からの大きな問題は生じていない。申請時に困難が予想されていた点(特に、モットFETにおける基板の選択、多層ディラック電子系へのキャリア注入法、ダイヤモンドアンビルセルにおける発生圧力と静水圧性の向上等)に関しては、着実に克服できており、新たに進展した研究項目・手法も取り入れて、多様なアプローチを行う。 3He冷凍機を用いた高周波ESRおよびサイクロトロン共鳴の実験を行う体制が整ったので、Bi-layer系におけるデュアル機能π電子物性研究をさらに推進したい。また、高圧下にあるα-(BEDT-TTF)2I3が質量ゼロのディラック電子系であることを直接証明することに成功したが、この物質はグラフェンとは異なりゼロギャップ構造がトポロジカル的に補償されておらず、なぜゼロギャップ構造が安定に実現するのかまだわかっていない。今後は、分子性導体におけるディラック電子系の出現機構解明の手掛かりを得ることを目的に、有機導体θ-(BEDT-TTF)2I3の圧力下電子状態に着目する。この物質は典型的な2次元金属であるが、0.5 GPa以上の圧力でディラック電子系へと相転移を起こす世界で唯一の物質である。
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[Presentation] Photo-Induced Dynamics of Pt(dmit)2 Salts2013
Author(s)
石川忠彦、進藤泰貴、細田亮介、恩田健、沖本洋一、腰原伸也、Hays Stuart、Sercan Keskin、Gaston Corthey、Masaki Hada、R. J. Dwayne Miller、Alain Moreac、Wawrzyniec Kaszub、Maciej Lorenc、山本貴、野村光城、加藤礼三
Organizer
International School and Symposium on Molecular Materials (ISSMM2013)
Place of Presentation
大田区
Year and Date
20131104-20131104
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