Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, グループ長 (60344199)
井上 麻夕里 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20451891)
西 弘嗣 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (20192685)
山岡 香子 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 産総研特別研究員 (30610399)
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Research Abstract |
二酸化炭素は温室効果気体であるとともに酸性気体なので,人為起源二酸化炭素の放出は地球温暖化のみならず海洋酸性化をもたらすと危惧されている.地球表層(大気圏,水圏,生態圏,岩石圏)システム全体の中で,海洋酸性化の位置づけ,pHを支配する地球システムと将来の生物圏への影響を明らかにすることが本研究の目的である. 精密に海水の二酸化炭素分圧(pCO_2)を制御してサンゴの飼育実験による検証を行った.その結果,高pCO_2海水に対して石灰化量が減少する種(Amphisorus kudakajimensis)と反対に増加する種(Calcarina gaudichaudii)がいることが明らかになった.そこで,炭酸種組成を調整した海水において飼育実験をおこなったところ,石灰化に強く影響を受ける炭酸種は種によって異なることが明らかになった.これは共生藻ごとの光合成活性度の違いによるものと考えられた. 湖沼における酸性度と炭素循環を調べるため,酸性・アルカリ性の湖を調査した.その結果,酸性の湖では貧栄養で,栄養塩の制限によっで生物活動が妨げられているため,pH上昇せず.二酸化炭素のソースとして働いていることがわかった.逆に,アルカリ性は概して富栄養湖で栄養塩と二酸化炭素が消費されて,光合成活発化,pHが上昇し,二酸化炭素のシンクとして働くことが明らかとなった,そして,一見炭酸系に関係ないと思われてきた栄養塩は,pHおよび炭酸系に重要な役割を演じていることが明らかになった.地球表層の炭素循環に大きな影響を与えている可能性があることがわかった. 古環境での海洋酸性化およびサンゴ骨格のICP-MSレーザーアブレーションシステムによる分析法の開発については、継続して研究を実施している.
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