2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22227005
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石渡 信一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10130866)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 生体分子モーター / 化学力学フィードバック / 筋収縮系自励振動(SPOC) / 細胞分裂機構 / 生物運動制御 / 細胞熱力学 |
Research Abstract |
1)SPOC研究において、単位モデルの拡張版である1次元連結モデルを完成した(論文投稿改訂作業中)。特に、モデルの中心をなす3つの常微分方程式を1つの位相方程式に集約することができ、モデルの数理的構造についての見通しを立てることができた。2)1分子研究では、遺伝子操作を加えたアクチンを安価で大量に調製するためのプロトコールを作成し(Ohkiら、2012)、Formin存在下でのアクチン重合の1分子解析が進捗したこと(論文準備中)などに進展があった。3)細胞分裂への力学刺激の作用について、1年間にわたる改訂作業ののちPNAS論文(Itabashiら、2012)として発表できたが、さらに、力学パルスによる細胞分裂の加速の原因探索や、染色体分配直前に見られる染色体振動の解析を進め、HeLa細胞以外の細胞も取り上げた。4)Xenopus卵抽出液中で自己集合した紡錘体のミクロ力学と形状維持のメカニズムについては、一対の微小ガラス針を用いた紡錘体の変形実験の解析から、紡錘体の粘弾性モデルを構築した(論文準備中)。また、紡錘体中で働くキネシンやダイニン分子モーターの特異的機能阻害剤を加えることによる異常形態紡錘体(たる型や放射型形状)を、微小ガラス針で力学操作することによって紡錘体形状に戻したり、逆に、紡錘体形状の一方の極を押し広げると、他方の極も自発的に広がって“たる型”になることや、それらの場所ごとの弾性率の計測などの実験を進めた。5)細胞の熱伝導率イメージングや、細胞機能の熱刺激応答性などの研究も着実に進展した。温度分布のナノイメージングについては、レシオ型のナノ温度計が開発できたことから、細胞内での絶対温度の計測が可能になった(論文投稿中)。また熱パルスについては、微小空間内での分子集合や、分子モーター機能への影響など、細胞機能への作用に限らず、研究が広がっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自励振動(SPOC)現象の理論構築、幼若心筋細胞の振動解析、そしてヒト心筋筋原線維のSPOC解析など順調に進んでいる。1分子計測は、アクチン、微小管系分子モーターのアミノ酸置換体による運動解析や、アクチン重合の1分子解析が進んでいる。細胞分裂や染色体分配装置・紡錘体のミクロ力学や力刺激による機能・形態制御の研究も進展し、熱刺激法や“歩くナノ温度計”による細胞内局所温度の計測も大きく展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
基盤Sの研究もあと残すところ2年となり、当初の目標を実現するために、横の連携をつくることで、Chemo-Mechanical Feedback Loop (CMF loop)という概念の成り立ちを、筋収縮系、細胞分裂・染色体分配系、そして1分子系で明らかにし、さらにサルコメア構造と紡錘体構造の類似性に立って、運動メカニズムの共通性に着目した研究を展開したい。また、本基盤S研究で大きく進展しているのは、細胞機能への熱パルス刺激の応答性というテーマと、熱刺激法を人工再構成系や筋収縮系に応用しようという方向性である。これも、新たな研究面の開拓という、基礎科学研究を推進すべき基盤研究の目標の一つとして、大切にしていきたい。
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Research Products
(52 results)