2010 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳刺激法を用いた運動認知共通制御神経機構の解明と認知機能促進手法の構築
Project/Area Number |
22240049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
本田 学 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第七部, 部長 (40321608)
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Keywords | 脳機能操作 / 経頭蓋磁気刺激 / 経頭蓋電気刺激 |
Research Abstract |
1.TMSが認知的手続き学習の記憶定着に及ぼす影響の検討 単一の認知的手続き課題の学習過程および記憶の定着過程が、TMSどのように修飾されるかを検討した。認知的手続きの複数同時学習課題を開発し、個別集中学習と、同時並行学習という異なるスケジュールによって学習を行わせた。機能的磁気共鳴画像法を用いて、学習に関与する脳部位を被験者ごとに求めたところ、補足運動野が学習スケジュールの違いを反映していることが明らかになった。学習終了後に、低頻度連続TMSによって補足運動野の神経活動を抑制したところ、個別集中学習を行った群では、学習内容の定着が阻害されたのに対して、同時並行学習を行った群では学習定着は阻害されなかった。 2.頭頂葉のtDCSが数の計算処理に及ぼす影響 数の認知処理に対するtDCSの効果を明らかにするための予備的検討を行った。左角回への陽極刺激とシャム刺激を行い、掛け算課題の成績への影響を比較した。シャム刺激群では時間を追う毎に正答率が上昇する傾向が見られたのに対し陽極刺激群には明らかな変化が見出せず、左角回への陽極刺激は数の認知処理学習を妨害する可能性が示唆された。 3.tDCSが線状体ドパミン遊離量に及ぼす影響 大脳基底核は運動制御だけでなく、さまざまな認知制御に重要な役割を果たすことが知られている。大脳皮質へのtDCS処置がラットの線条体神経細胞外に放出されるドパミン濃度に対してどのような影響を与えるかを、Invivo microdialysis法を用いて検討した。その結果、陰極電極をもちいて400μAまたは800μAのtDCSを印可した後、線条体におけるドパミン濃度が有意に増加した。tDCS処置によるドパミン濃度の増加は400分以上維持されていた。一方、セロトニン濃度は、いずれの刺激強度においても増加が認められなかった。また、陽極電極をもちいたtDCSでは、800μAの刺激を印可した場合も、ドパミンとセロトニンのいずれも放出濃度に有意な変化は認められなかった。
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