2011 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳刺激法を用いた運動認知共通制御神経機構の解明と認知機能促進手法の構築
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22240049
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
本田 学 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第七部, 部長 (40321608)
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Keywords | 脳機能操作 / 経頭蓋磁気刺激 / 経頭蓋電気刺激 |
Research Abstract |
1.頭頂葉のtDCSが数の計算処理に及ぼす影響 tDCSの効果には個人差があり臨床応用において課題となるため、暗算課題時のtDCS効果の個人差をあらかじめfMRIによって予測できないか検討した。被験者15名の暗算課題中の左右頭頂葉の脳活動をfMRIで計測し、活性化部位の体積の左右差をLaterality Index(LI)=(L-R)/(L+R)を用いて評価した。次に被験者ごとに同定された左右頭頂葉の活性化部位直上の頭皮に刺激電極を設置し暗算課題施行中にtDCSを印加した。刺激前、刺激中、刺激後30分及び60分の成績を反応時間と動作時間の和(Response time:RT)を用いて評価した。tDCS施行の前後で暗算課題の成績は統計的有意に改善した。また、刺激後のRTの改善の程度はLIと有意な相関を示し、相対的に左の活動が優勢な被験者ほどtDCSによる課題改善効果が顕著であった。 2.tDCSが線状体ドパミン遊離量に及ぼす影響 tDCSのパーキンソン病への臨床応用を視野に入れ、前頭皮質へのtDCS処置がラットの線条体における細胞外ドパミン濃度に対してどのような影響を与えるかをIn vivo microdialysis法を用いて検討した。麻酔下でラットの右線条体に透析プローブを挿入後、人工脳脊髄液の灌流および回収を10分間隔で開始した。ドパミン・セロトニン濃度の安定を確認後、右前頭皮質直上の頭皮と首に設置した電極から800μAの直流電流を10分間印加した。その結果、前頭皮質側に設置した電極を陰極として直流電流を印加した場合、線条体細胞外ドパミン濃度が有意に増加した。この濃度増加は120分後から統計的有意な水準に達しその後400分以上維持された。一方、前頭皮質側の電極を陽極とした場合には有意な変化は認められなかった。また、セロトニン濃度はいずれの条件でも有意な変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究課題を着実に遂行し、その結果、興味深い知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施してきた研究手法をさらに進展させ、tDCSとTMS、fMRI、EEGなどを用いた統合的脳機能イメージング手法を駆使した研究課題にとりくむ。また、臨床応用を視野に入れ、ラットのパーキンソンモデルを作成してtDCSの効果とメカニズムを検討する。
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Research Products
(8 results)