2012 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳刺激法を用いた運動認知共通制御神経機構の解明と認知機能促進手法の構築
Project/Area Number |
22240049
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
本田 学 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第七部, 部長 (40321608)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳機能操作 / 経頭蓋磁気刺激 / 経頭蓋電気刺激 |
Research Abstract |
経頭蓋直流電気刺激法(Transcranial Direct Current Stimulation: tDCS) は、刺激パラメータにより直下の神経活動を抑制または促進することが知られている。本研究は、tDCSを用いて、運動関連脳領野が認知機能に果たす役割を明らかにすると同時に、非侵襲脳刺激法をもちいた認知機能促進手法を確立し、さまざまな認知障害に対する新しい認知リハビリテーションを開発することを目的とする。そのために、下記の検討を実施している。 1. 運動前野、補足運動野、頭頂皮質、小脳などへのtDCS陽極刺激が、各種の認知的操作に及ぼす抑制および促進効果をfMRIと対比しながら明らかにする。 2. ラットを用いて経頭蓋直流電気刺激の運動・認知課題に対する促進・抑制効果発現メカニズムの基礎的検討をおこなう。 今年度は、計算課題の成績が、左右頭頂葉の頭頂間溝周囲を陽極または陰極をもちいたtDCSによって刺激をしたときに改善するかどうかを検討した。その結果、左頭頂葉を陽極で、右頭頂葉を陰極で刺激したときに、有意に計算の反応速度が増加することがあきらかになった。この効果は、左頭頂葉を陰極で、右頭頂葉を陽極で刺激したときには全く認められず、左右頭頂葉の脳活動が極性依存的に認知機能の成績に影響を及ぼしていることが示唆された。 一方、ラットをもちいてtDCSを印可した時のどの程度予測できるかについて検討をおこなったところ、陰極刺激の印可によって線条体のドーパミン遊離が有意に増加することがin vivo microdialysis法によって明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトを対象とした検討、ラットを対象とした検討のいずれも、研究成果が論文として採択され、順調に成果をあげつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
I. tDCSが認知機能に及ぼす抑制・促進効果とfMRIとの相関の検討:tDCSの効果は被験者間でかなりばらつくことが知られている。そこで、tDCSを実施する前に同じ認知課題とfMRIを用いて脳の活動を明らかにし、課題遂行時の活動が同定された左右頭頂葉の頭頂間溝周囲の活動が、陽極または陰極をもちいたtDCSが認知課題に及ぼす改善効果をどの程度予測できるか、両者の相関を検討する。 II. ラットをもちいた経頭蓋直流電気刺激の作用機序の解明:経頭蓋直流電気刺激をラットの大脳皮質に与えた場合の、皮質におけるMulti Unit Activityの変化を検討するとともに、基底核ドーパミンの放出に及ぼす遠隔効果を明らかにする。 III. パーキンソンモデル動物の作出:これまでに明らかにしたtDCSの基底核遊離ドーパミン増加効果が、パーキンソン病の病態に及ぼす影響を明らかにするため、パーキンソンモデルラットを用いて、経頭蓋直流電気刺激が運動機能に及ぼす影響を評価する。
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Research Products
(4 results)