2010 Fiscal Year Annual Research Report
発現パターンに基づく線虫遺伝子制御ネットワーク研究
Project/Area Number |
22241047
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小原 雄治 国立遺伝学研究所, 所長 (70135292)
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Keywords | 遺伝子 / 発現調節 / ゲノム / 発生分化 / mRNA / シグナル伝達 |
Research Abstract |
初期胚におけるmRNA局在機構については、pos-1 mRNAについて局在に必要なシス配列として2つのCYCACAのタンデムリピートと進化的に保存された30塩基を同定した。さらに、これと相互作用し局在化に関わるトランス因子としてRNA結合タンパク質であるMEX-1を同定した。また、MEX-5もシス配列に結合することを見出した。 初期胚における遺伝子制御ネットワーク解明においては、線虫C.elegansの初期胚において、β-catenin HMP-2がSrcの下流でWntパスウェイと並行してシグナル伝達で機能していることを見出した。WntとSrcパスウェイは発生におけるシグナル伝達経路として広く使われており、β-cateninは両方のパスウェイでシグナル伝達とカドヘリン細胞接着複合体の因子として使われているが、線虫C.elegansではβ-catenin HMP-2は細胞接着に関与しているが、シグナル伝達機能については不明であったものである。線虫初期胚ではWntとSrcパスウェイは4細胞期の内胚葉誘導に関与し、ABar細胞の紡錘体の向きに関与する。発現パターンに基づき、初期胚で重要な機能が予想される遺伝子群のRNAi実験から、HMP-2がSrcパスウェイで機能していることを見出した。HMP-2は細胞境界と核に局在し、細胞境界の局在はSRC-1に負に制御されていること、SRC-1依存的にチロシンリン酸化が行われることを見出した。これらのことから、HMP-2はSrc経路の下流で働き、Wnt経路と並行して、内胚葉誘導とABar紡錘体方向決定に機能していることを提案した。
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