2011 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍微小環境で作用する分子標的抗がん剤の探索とその標的分子の解析
Project/Area Number |
22241053
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
|
Keywords | 抗がん剤 / 血管新生 / 低酸素環境適応 / 海洋生物 / 標的分子 |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍の微小環境で特異的に観察される細胞の表現型変化に着目した評価系を用いて、底生海洋生物の抽出エキスや海洋由来微生物の培養物ライブラリーを対象とする探索を行う。そして、見出した活性天然物の全合成やアナログ化合物合成を展開することにより、がん細胞特異的に作用する医薬シーズの創製を目指す。またその作用メカニズムを解析する方法論を、ケミカルバイオロジーの手法により確立し、これを見出した新規化合物の標的分子の解析に利用する。今年度は研究計画に従い、構築した5つの評価系によるスクリーニングを継続して実施した。その結果、インドネシア産海綿の抽出エキスから、がん細胞の転移過程の1つである遊走を阻害する化合物として、stylissamide Xと命名した新規環状ペプチドを発見した。また、低酸素環境選択的にがん細胞の増殖を阻害する活性天然物furospinosulin-1については、既存の抗がん剤であるシスプラチンと併用することにより、顕著な相乗効果を示すことを見出し、さらに、前年度までの次世代型プローブ分子の作成と機能評価などの知見をもとにして、furospinosulin-1結合タンパク質を解析するためのプローブ分子を合成し、その最適化にも成功した。一方、前年度のfurospinosulin-1アナログによる構造活性相関研究の過程で見出した3種のアナログ化合物、がん血管新生阻害物質cortistatin Aアナログに関しては、大量合成可能な合成ルートの確立に成功し、各アナログ化合物のマウスを用いる抗腫瘍活性試験に向けた大量合成を行いin vivo評価の準備を完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、構築した評価系によるスクリーニングを継続して実施し、新規化合物の発見に成功している。また、furospinosulin-1およびcortistatin Aのアナログ化合物を中心に、新しい医薬シーズ創出に向けた検討が順調に進んでいる。さらに見出した化合物の結合タンパク質を解析するためのプローブ分子の合成や最適化も計画通り実施している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通り、がんに対する新しい医薬シーズ創出のためのスクリーニング、見出した化合物の全合成やアナログ化合物合成を実施する。また、ケミカルバイオロジーの手法による活性物質の結合タンパク質解析を積極的に進めて行く予定である。
|
Research Products
(15 results)