2012 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍微小環境で作用する分子標的抗がん剤の探索とその標的分子の解析
Project/Area Number |
22241053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / 血管新生 / 低酸素環境適応 / 海洋生物 / 標的分子 |
Research Abstract |
1)研究代表者らが構築している、腫瘍微小環境に着目した5つのスクリーニング系(a: がん細胞特異的な細胞周期阻害物質, b: 血管新生阻害物質, c: 低酸素環境適応がん細胞選択的な増殖阻害物質, d: 上皮間葉転換阻害物質, e: がん細胞の誘導・浸潤・接着阻害物質)での活性物質の探索を継続して実施し、海綿抽出エキスから血管新生阻害物質として、N-isopentenyladenosineおよび新規サポニンを見出した。また両化合物ともに、in vitroで血管内皮細胞の遊走および管腔形成を阻害することを明らかにした。 2)低酸素環境に適応したがん細胞の増殖を選択的に阻害するfurospinosulin-1に関して、アナログ化合物合成による構造活性相関研究の過程で見出し、in vitroで有望な活性を示すことが確認されたアナログ化合物を、腫瘍移植マウスモデルを用いて評価した。その結果、経口投与で天然物と同等以上の抗腫瘍活性を示すことが明らかとなった。 3)継続して実施している、血管新生阻害活性を示すcortistatin Aのアナログ化合物合成において、がん細胞に対する活性と比較して、500倍以上の血管内皮細胞選択性を示すアナログ化合物の創製に成功した。 4)Cortistatin Aおよびfurospinosulin-1の標的分子解析に使用するプローブ分子合成を進め、活性を保持するビオチン標識プローブの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、構築した5つの評価系による探索研究を継続して実施し、がん血管新生阻害物質として、新規化合物を含む2つの活性物質を見出すことに成功した。また、低酸素環境選択的がん細胞増殖阻害物質furospinosulin-1に関する研究についても、合成したアナログ化合物が、腫瘍移植マウスモデルにおいて、天然物と同等以上の抗腫瘍活性を示す知見を得た。さらに、標的分子の解析についても、活性を保持するビオチン標識プローブの合成に成功しており、着実に研究が進展している。一方、血管新生阻害活性を有するcortistatin Aのアナログ化合物合成に関しても、in vitroでの評価において、これまでで最も高い血管内皮細胞選択的活性を示す化合物の創出に成功した。また、標的分子解析のためのプローブ分子の合成についても完了しており、次年度の研究に向け、着実に研究成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)継続して探索研究を進め、医薬シーズとなり得る活性物質の発見を目指す。また、今年度までに見出した化合物について、in vitroおよびin vivoでの活性評価を進める。 2)昨年度、低酸素環境選択がん細胞増殖阻害物質として見出した、海綿由来のテルペノイド化合物について、in vivo評価に向けて、大量供給が可能な全合成ルートを確立し、さらにアナログ化合物合成による構造活性相関を検討する。 3)今年度見出した、有望な活性を示すcortistatin Aアナログのin vivoでの評価を実施するとともに、より高い血管内皮細胞選択性を示し、強力な増殖阻害活性を有するアナログ化合物の創製についても継続して検討して行く。 3)合成に成功したcortistatin Aアナログおよびfurospinosulin-1のビオチン標識プローブを使用して、その標的分子の解析を実施する。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Asymmetric Total Synthesis of (―)-Stenine and 9a-epi-Stenine.2012
Author(s)
Fujioka, H.; Nakahara, K.; Kotoku, N.; Ohba, Y.; Nagatomi, Y.; Wang, T.-L.; Sawama, Y.; Murai, K.; Hirano, K.; Oki, T.; Wakamatsu, S.; Kita, Y.
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Journal Title
Chem. Eur. J.
Volume: 18
Pages: 13861-13870
DOI
Peer Reviewed
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