2010 Fiscal Year Annual Research Report
人類の思想的営みとしての宗教遺産の形成に関する総合的研究 ―宗教遺産学の構築へ―
Project/Area Number |
22242003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
上島 享 京都府立大学, 文学部, 准教授 (60285244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 直樹 京都府立大学, 文学部, 准教授 (80381929)
上杉 和央 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70379030)
岡本 隆司 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70260742)
中 純夫 京都府立大学, 文学部, 教授 (50207700)
東 昇 京都府立大学, 文学部, 准教授 (00416562)
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Keywords | 宗教遺産学 / 文化遺産 / 思想史 / 宗教思想 / 宗教儀礼 |
Research Abstract |
本研究課題は、「宗教遺産学」という新たな学問体系の構築を目標にかかげ、具体的な調査・研究を踏まえながら、その理論的な枠組を鍛えていこうとするものである。初年度である今年は、研究を軌道に乗せるとともに、平成24年度末に刊行予定の中間報告書に向けた基礎的な調査・研究を進めることが主たる目標であった。 (1) 研究計画の確定研究組織全員による会合を行い、5年間の調査・研究に関する目標を確定し、本年度の具体的な調査・研究計画を確認した。それにもとづき、本研究課題の成果を世界へ発信するために、最終年度(平成26年度)に行うシンポジウムの実施をハーバード大学東アジア学部教授阿部龍一氏に打診した。良好な回答を得たので、研究代表者が渡米し、阿部氏と面会し、シンポジウムの時期・内容について具体的な話し合いを進め、およその案が確定した。これにより、本研究課題の最終的な目標を定めることができた。 (2) 研究会とシンポジウムの実施今年度は、宗教遺産学に関する幅広い認識を獲得するため、各分野の第一線で活躍している研究者を招聘して、研究組織全員が参加する研究会を4回行った。また、今年度の研究成果を広く公開し、宗教遺産学に対する一般の認識を深めるため、一般市民を対象としたシンポジウムを京都府立大学で実施し、参加者から高い評価を得た。 (3) 調査の実施本研究課題では、具体的な調査を重視している。本研究組織構成員によるグループでの調査と全体での調査を実施した。前者では、ドイツ・オーバーアマガウ受難劇を調査・見学するとともに、それが行われる南ドイツ地域の宗教遺産を踏査した。これにより、直接には交流がない、キリスト教文化圈と東アジアとの間で、通時的共振性がある事実を見出し、今後、深めていくべき課題を得た。また、全体の調査としては、沖縄本島・石垣島・西表島の宗教遺産を踏査し、日本や中国とは異なった沖縄の宗教秩序に関する考察を深めた。既存の認識を相対化し、東アジアの新たな宗教的枠組を考え直すうえで、大きな刺激と検討すべき課題を得ることができた。これらの調査の報告は、研究会の場で報告し、調査の成果を構成員全員が共有できるようにしている。
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Research Products
(8 results)