2011 Fiscal Year Annual Research Report
関係性及び連携と連帯に着目した新たな行政観の構築可能性とその具体像に関する研究
Project/Area Number |
22243003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亘理 格 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30125695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 裕之 中央大学, 大学院・法務研究科, 教授 (10169021)
米丸 恒治 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00202408)
山下 竜一 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60239994)
徳田 博人 琉球大学, 法文学部, 教授 (50242798)
横山 寿一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (10200916)
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Keywords | 関係性 / 連携 / 連帯 / 公共的秩序形成 / 戦略的都市計画 / 公私協働 |
Research Abstract |
本年度は、まちづくり法と環境法の関係性及びまちづくり法と警察法の関係性を中心とした研究が大きく進展した。1.まちづくり法と環境法の関係では、フランス国立学術研究センター専任研究ディレクターであるJ・F・ストゥルイユ氏を招聘し、東京では、(財)土地総合研究所と共催で「フランス法における地域都市計画プラン(PLU)-空間の管理から都市の管理へ」と題した講演会(2012年3月6日)を開催し、また北海道大学では、「フランス都市計画法における先買権の飛躍的発展」と題した研究会(2012年3月9日)を開催した。2度にわたる講演研究会を通して、都市拡散の防止と市街地再生という日本とフランスに共通の課題の下で、(1)住宅政策、商工業政策、交通政策、生物多様性の保護や地球環境保全等の関連する計画や政策との関係性を視野に組み込んだ戦略的都市計画論が必要不可欠であること、(2)かかる戦略的都市計画は、広域と狭域の双方にわたり戦略性と実効性を具備したものである必要があり、許認可や措置命令等の伝統的手法や契約手法に加えて、先買権等も規制的手法の一環として機能し得ること、(3)環境法との相互作用を通して、都市計画法を始めとしたまちづくり法のパラダイム転換が生じていることが明らかとなった。2.まちづくり法と警察法の関係では、フランス警察制度の著名な研究者であるF・ディウ教授を招聘し、神戸大学において[公私協働-刑務所、空港、警備業における公共と民間のパートナーシップ」と題した講演会(2012年10月17日)を、また北海道大学において[警察と社会-警察機能の社会への移譲」と題した講演会(2011年10月21日)を開催する一方、研究分担者1名をフランスに派遣し、刑務所民営化の実情を調査した。これにより、公共の安全確保という国家的基本任務の領域でも生じている国家・社会間関係の変容及びその具体的手法の一端が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は、異なった法規範、制度、法的地位相互間の関係性の解明という視点からする各論研究を通して、新たな行政観を析出しようとするものであり、本年度研究より、まちづくり法、環境法、警察法という複数の各論的分野相互間の関係性の解明は大きく進展した。他方、情報法や社会保障法の各論的研究及び各論研究を束ねる方法論的基幹研究は緒に付いたばかりだが、その研究推進の方向は明確化している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究計画の中間点に位置するため、関係性の視点からの各論分野の研究を更に拡充するとともに、方法論的基幹研究のレベルアップを図る必要がある。まず、まちづくり法、環境法、警察法相互間の関係性解明のため、ドイツやフランス法の実態調査を含む比較法研究を強化する。また情報法や社会保障法における関係性の解明も具体例に即して進める。他方、行政法学の方法論を扱う基幹研究会の開催回数を増やし、各論研究の成果を束ねるための理論的ベースの強化を図ることとする。
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