2012 Fiscal Year Annual Research Report
関係性及び連携と連帯に着目した新たな行政観の構築可能性とその具体像に関する研究
Project/Area Number |
22243003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亘理 格 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (30125695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 裕之 中央大学, 大学院法務研究科, 教授 (10169021)
米丸 恒治 神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (00202408)
山下 竜一 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60239994)
徳田 博人 琉球大学, 法文学部, 教授 (50242798)
前田 雅子 関西学院大学, 法学部, 教授 (90248196)
豊島 明子 南山大学, 大学院法務研究科, 教授 (10293680)
横山 壽一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (10200916)
小川 一茂 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (70388768)
北見 宏介 名城大学, 法学部, 准教授 (10455595)
米田 雅宏 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (00377376)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関係性 / 連携 / 連帯 / 政策間連携 / 戦略的広域計画 / 都市計画 / 犯罪予防 / 自立支援・就労支援 |
Research Abstract |
フライブルク市及びナント市での調査により、都市計画が、狭義の都市計画の枠を越え、住宅政策、交通政策、商業等の産業政策、エネルギー政策、高齢者や児童の福祉、自然保護等の諸政策との関係づけの重要性が明らかとなった。フライブルク市の都市計画では、商業政策まで意識した都市計画や公営企業による市街電車や地域発電事業との連携等を通して、商店街の活性化と社会的弱者の福祉にも配慮した中心市街地の創出、新興住宅地と中心部間のアクセス確保と良好な住環境や自然保護等が図られていることが明らかとなった。フランスでは、複数都市圏間の連携に立脚した戦略的広域計画と狭域的な市町村計画間の整合性を確保しようとする計画制度が確立していることが明らかとなった。さらにどちらの都市においても、計画策定過程における多様な利害関係人やステークホルダーの参加が保障されるいることも明らかとなった。警察法との関係では、フライブルク市郊外では、エネルギー効率のよい高気密住宅への改築促進策を、移民等が多く住む住宅地から取り組み、外壁のリフォーム等を通して混住化を促進する取組みが行われていること、死角ができないような道路・住宅配置により防犯効果が期待されていること等、都市政策に治安の維持・予防政策が有機的に結びつけられていることが明らかとなった。他方、社会保障法については、生活保護受給者の増加に伴う保護基準額の削減政策を背景に、生活困窮者を対象に地域の資源を活用して行われている自立支援・就労支援施策との関係性や連携という視点から、あるべき社会保障制度像を考察する必要があることが明らかとなった。また情報法については、わが国の官民のコミュニケーション過程のICT利用が十分な成果を挙げていない中で、打破策の参照事例として、欧州のeID利用状況と認証付き電子メール法制としてのDe-Mail法を調査する必要があること等が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まちづくりと環境保護及び近隣警察等の関係諸政策間の関係性と連携については、関係諸政策間の調整連携のための具体的な制度設計につながる研究成果が得られつつあり、また社会保障法及び情報法における関係性についても、問題状況はほぼ解明された。もっとも、一般行政法理論との架橋のあり方については未だ漠然とした部分があり、次年度以降の研究を通して、架橋のイメージをさらに明確化する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まちづくりと環境保護の関係性及び警察法の関係性に関する今年度までの研究成果を土台に、関係性や連携や連帯に着目した視点が行政法の基礎的概念や一般理論に対して如何なるインパクトを与えるかについて理論的検討を加える必要がある。また、社会保障法や情報法の領域において関係性等の視点が如何なる示唆や帰結をもたらすかについて、更に研究を深める必要がある。
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