2010 Fiscal Year Annual Research Report
支配的地位の濫用規制と不公正取引の規制が切り開く東アジア競争法の新しい地平へ
Project/Area Number |
22243004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
稗貫 俊文 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (70113610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80262418)
栗田 誠 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 教授 (20334162)
林 秀弥 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (30364037)
中山 武憲 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (40278388)
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Keywords | 東アジア競争法 / 不公正取引 / 市場支配的地位の濫用 / 独禁法の経済学 / ロースクール / NTT東日本 / ポスコ事件 / 公正取引委員会 |
Research Abstract |
今年度は不公正取引と支配的地位の濫用の規制の現状を検討した。台湾の不公正取引の規制は、台湾の学者により民事紛争のような類のものまで公正取引委員会が取り扱っている結果、不公正取引と競争法との関係が曖昧になっているとの指摘がなされた。中国は、不公正取引の規制は反独占法の中にはないが、不公正取引の事件は多く、規制の方法が探られているという。日本は、公正取引委員会の実務が不公正取引の規制に相当の予算と人員を使っているのに、多くが行政指導など非公式な手法で行われ、公式の規制のデータとして現れないという。このことは若手弁護士の報告を基礎に、日本のロースクール教育における不正競争取引規制の教育の不十分さを検討する機会をもった。 他方、市場支配的地位の濫用の規制は、韓国では、ポスコ事件最高裁判決を契機に、取引相手に対する打撃の程度を見ることから、市場効果を見る方向に転じたという。台湾では、韓国と異なり、市場への影響を見ずに、取引相手に対する打撃だけで違法にする規制が続いている。中国はまだ市場支配的地位の濫用の事件で公開されたものはない。日本では、私的独占は、支配行為だけでなく、排除行為にも課徴金が課されるようになり、市場効果についての慎重な検討が行われるようになった。私的独占の排除行為に関するガイドラインが公表されて、NTT東日本の私的独占事件最高裁判決はガイドラインの考え方を踏襲している感じがある。経済学から、日本では、私的独占における市場画定と市場シェアの高さが重要であることが示された。韓国や中国では、ライバルコストの引き上げ戦略や、経済的に不合理な行動の理論など理論が経済法学者により報告されるようになった。また法哲学からは、中国において、「弱者に対する行政的温情的配慮」つきの競争こそが「公正」であるという議論により中国の体制を肯定しているのではないかすると指摘があった。
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Research Products
(41 results)
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[Book] 経済法2010
Author(s)
泉水文雄.土佐和生.宮井雅明.林秀弥
Total Pages
400
Publisher
有斐閣