2011 Fiscal Year Annual Research Report
支配的地位の濫用規制と不公正取引の規制が切り開く東アジア競争法の新しい地平へ
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22243004
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
稗貫 俊文 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (70113610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80262418)
栗田 誠 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 教授 (20334162)
瀬領 真悟 同志社大学, 法学部, 教授 (90192624)
中山 武憲 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (40278388)
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Keywords | 東アジア経済法 / 東アジア競争法 / 公正去来法 / 公正交易法 / 反龍断法 / 不公正取引 / 競争文化 / 競争唱導(Competition Advocacy) |
Research Abstract |
今年度は、東アジア競争法が直面している競争法の域外適用などの新しい課題、そして、競争法の運用を支える法文化や歴史の課題について、多くのシンポジュームや研究会に参加した。 (1)中国・北東部の大学での講演旅行(平成23年8月30日~9月4日) 平成23年8月31日:藩陽・東北大学文法学院で、「中国の独占禁止法と日本の独占禁止法」の講演会。 平成23年9月2日:ハルビン・黒龍江大学法学院で、「中国の独占禁止法と日本の独占禁止法」と題する講演会開催。 (2)京都のワークショップに参加(平成23年9月13日) 東アジア競争法の域外適用について、研究分担者の土田和博教授や須網隆夫教授、ソウル大学の権五乗教授の報告を基礎に、韓国、中国、台湾、日本の学者と議論した。 (3)アジア競争協会(ACA)の定期研究会(平成23年9月16日) 稗貫俊文と栗田誠が協会理事を務めるアジア競争協会(ACA)の定期研究会を、東京で開催した。東アジア各国の競争法が直面している課題を独占行為、カルテル規制、合併規制に分けて、総計10余人の報告を受けた。 (4)第8回東アジア法哲学学会研究大会(平成24年3月17日~19日) 「ポスト法継受時代における東アジアの法文化」という統一テーマで、東アジア法哲学学会研究大会が台」湾政治大学開催された。そのなかで、我々は競争法の歴史や文化についてシンポジュームを開催した。17日は、東アジア競争法の政治経済的決定要因と国際関係の決定要因について、18日は、東アジア法文化と各国の競争法の制定後の課題について、討論した。19日は、来年度の研究打ち合わせ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も、いろいろなシンポジュームやワークショップで、東アジア競争法の新しい動向を学んだ。そのなかで、とくに、台湾で行なったシンポジュームで、東アジアの競争法の法文化と歴史、競争唱導について学ぶことができたことが大きい。これは法思想、法哲学にも関連しているので遠回りに見えるが、我々の研究の基礎を確実なものにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
東アジアでは、国民の支持を得ながら、競争法を強化していくには戦略が必要になる。そのために、競争法の不公正取引の規制や支配的地位の濫用規制を使うのであるが、そのとき、台湾のような消費者のための不公正取引規制や、中小企業の保護という「土着化した法運用」が肯定されるとともに、日本のように、他の政府機関や地方自治体に対する競争当局の競争唱導(Competition Advocacy)も重要であることが明らかになった。この二つの方向は中国にも韓国にも有益であることを今後明らかにしていきたい。
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Research Products
(41 results)