2011 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済におけるリスクの経済分析~国際貿易論の視点から~
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22243023
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石川 城太 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80240761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 顕三 大阪大学, 経済学研究科, 理事・副学長 (00175902)
木村 福成 慶応義塾大学, 経済学部, 教授 (90265918)
清田 耕造 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (10306863)
古澤 泰治 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80272095)
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
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Keywords | グローバリゼーション / 国際貿易 / 直接投資 / リスク |
Research Abstract |
1、国際金融市場に関わるリスク 金融市場の発展度が異なれば、企業の技術導入の度合いも異なり、それにより産業内における生産性分布も異なってくる。財・サービス貿易の自由化と国際資本移動が同時に自由化されるグローバリゼーションにより、生産性分布は国際間で均一化し、その結果世界的平均生産性は低下する可能性があることを、理論的に明らかにした。 2、グローバルな環境問題 地球温暖化対策として、環境政策にリンクしたODAの効果を分析した。国際援助額を受入国の排出量に依存させた場合、受入国の排出総量を減少させ、供与国の経済厚生も引き上げうる。また、国内及び国際的な排出権取引を理論的に分析した。国内排出権取引は、国際的な炭素リーケージをもたらしうる。国際排出権取引は、経済の効率性を高めるものの、厚生を高めるとは限らない。以上の結果は、政策のスキームを考える上で重要な示唆を与える。 3、国際的な生産ネットワークの構築・運用に伴うリスク 東日本大震災が国際的生産ネットワークにどのような影響を与えたかを見るために、機械産業を中心とする国際的生産ネットワークが震災に対しどのように反応したかについて、実証研究を行った。国際的生産ネットワークの下での国際取引は、それ以外の国際取引と比較して、より高い安定性・頑健性を示すことが確認された。このことは、新たな国際分業の1つの重要な性格を明らかにするものであり、21世紀型地域主義の内容にも密接に関連するものであった。 マクロレベルのデータベースをもとに、輸出と雇用の関係を分析し、輸出の減少が雇用に及ぼす影響は、その産業の輸出と生産・雇用の関係を見るだけでは必ずしも十分ではないことがわかった。この結果は,外需のショックという潜在的なリスクに備えるためには、その産業の輸出の効果だけでなく、リンケージを通じて波及する効果も考慮する必要があることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つのテーマともほぼ計画通りに研究が進んでいる。 計画していたワークショップやコンファレンスを滞りなく開催することで、研究組織内で研究成果を共有すると同時に、密接にコミュニケーションを図っている(http://www.econ.hit-u.ac.jp/~getrade/conferencegyouseki.htmlを参照のこと)。 研究成果が、順調に査読付きの国際的な学術雑誌に掲載されている(掲載されることが決まっている)。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの共同研究を継続するとともに、国内外でのさらなる共同研究の可能性を探る。 産業構造をより豊かに表現した経済モデルを採用したり、構築したりして、より現実に沿った分析を目指す。 アジアを中心に現地企業へのインタビューを充実させて、経済モデルの構築やデータの収集に役立てる。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は、現時点では特にない。
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Research Products
(30 results)