2012 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済におけるリスクの経済分析~国際貿易論の視点から~
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22243023
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石川 城太 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80240761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 顕三 大阪大学, 経済学研究科, 理事・副学長 (00175902)
木村 福成 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90265918)
清田 耕造 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (10306863)
古澤 泰治 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80272095)
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グローバリゼーション / 国際貿易 / 直接投資 / リスク |
Research Abstract |
1、国際金融市場に関わるリスク:(1)途上国にとって、資本市場を海外に開放すべきかどうかは重要かつ難しい問題である。先行研究では、財市場の開放度との相関関係を考慮した分析は少ない。「金融市場が不完全なもとでの国際貿易と国際資本移動」の研究を通じて、財市場の開放は発展途上国から先進国への資本流出を招くことを理論的に示した。この結果は、発展途上国が資本市場と財市場をともに開放する場合、まず国内金融制度の改革が必要なことを示唆する。(2)途上国の企業が先進国のブランドを買収する事例から、海外買収をブランド作りの一戦略と考えて研究を行った。不完全情報の下でリスク面を考慮すると、質のよくない企業の存在によって、ブランドの買収がブランド作りにあまり貢献しないことが分かった。 2、グローバルな環境問題:(1)2段階ゲームを用いて、地球温暖化対策として炭素リーケージがあるもとでの排出税と排出割当の比較分析を行った。この分析により、どちらの政策がより厳しいのか、なぜ先進国は排出割当を主に採用するのに対し、途上国は排出税を主に採用するのか、といった問に対する示唆を得た。(2)援助が2国間で非協力に決定される環境政策にどのような影響を与えるかを理論的に分析した。生産から生じる汚染が国内に留まる場合と外国にも影響が及ぶ場合とで、両国の厚生に及ぼす影響に大きな違いがあることが分かった。 3、国際的な生産ネットワークの構築・運用に伴うリスク:(1)日本の製造業企業の個票データを用いて世界金融危機のショックが企業の国際分業・国内雇用等にどのような影響を与えたかの分析を継続中である。(2)国際金融危機のようなリスクが国際貿易を通じて国内生産・雇用にどのような影響を及ぼすかについては、産業界でも政策担当者の間でも大きな関心事である。すでに整備したデータをもとに、特に「輸出に関わるリスク」について研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、新たに取りかかった分析や継続中の分析もあって若干研究発表が少なかったが、累積では研究発表を着実に積み増しており、研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方はおおむね順調に進んでいるので、今後は研究成果の発信(学会や国際会議での報告、査読付ジャーナルへの掲載)にさらに力を注いでいく。研究計画の変更や遂行上の問題点は特にはない。
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Research Products
(34 results)