2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラグメンテーション、タイムゾーン、およびその動学的帰結
Project/Area Number |
22243024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 訓嗣 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20237324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
上東 貴志 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (30324908)
出井 文男 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (90093541)
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 准教授 (00367947)
胡 云芳 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (30379466)
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Keywords | オフショアリング / グローバリゼーション / 貿易費用 / ネットワーク形成ゲーム / 自由貿易協定 / 繰り返しゲーム |
Research Abstract |
第1グループ(静学的枠組みを出発点とした理論モデルの構築) 中核タスクと周辺タスクの2つのタスクのオフショアリングを行う企業行動と南北労働者の技能格差との関係を分析した。周辺タスクはオフショアリングされるが,中核タスクはされないこと,また南の労働者の技能が著しく低い場合,その祖もオフショアリングが生じないことを明らかにした。 グローバリゼーションが地域間および国際間における所得不平等に及ぼす影響について分析し,資本移動の程度や輸送費用の大きさ,社会的間接資本充足度などとの関係を分析した(論文3)。国際資本移動の下では輸送費用の低下に伴って地域間不平等は縮小するものの,資本移動が行われない場合には逆の事象が生じることを示した。 ネットワーク形成ゲームの枠組みを利用して,双務的な自由貿易協定(FTA)の締結が最終的に世界大の自由貿易をもたらすのか否かについて分析を行った(報告3)。各国が近視眼的(myopic)である場合には非効率的な貿易状態が成立する可能性があるのに対して,各国が十分に先見的(farsighted)であれば,自由貿易状態のみが唯一の安定的な帰結となることを論証した。 これらの研究によって,フラグメンテーション(オフショアリングはその一部)および生産ブロックの再配置に関する理論の一端が明らかとなった。 第2グループ(動学的枠組みを出発点とした理論モデルの構築) 2人無限繰り返しゲームに関して「即時反応均衡」(ERE : Immediately Reactive Equilibrium)を定義し,均衡戦略による大域的動学について分析した。この研究によって,タイムゾーンに関する動学的分析を展開するために有用な分析装置の性質が明らかとなった。
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