2012 Fiscal Year Annual Research Report
フラグメンテーション、タイムゾーン、およびその動学的帰結
Project/Area Number |
22243024
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 訓嗣 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20237324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
上東 貴志 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (30324908)
出井 文男 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90093541)
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 教授 (00367947)
胡 云芳 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (30379466)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 自由貿易協定 / 時間的忍耐力 / タイムゾーン / ネットワーク形成ゲーム / 家庭内生産部門 / 不決定性 / 動学的貿易モデル |
Research Abstract |
第1グループ(静学的枠組みを出発点とした理論モデルの構築):(a)各国が先見的である場合の双務的な自由貿易協定(FTA)の連鎖的形成について,初期の関税率の違いが最終的帰結に及ぼす影響について分析を行った(発表1,2)。(b)本プロジェクトの成果を含む国際貿易の教科書を出版した(図書1)。 第2グループ(動学的枠組みを出発点とした理論モデルの構築):(a)グローバリゼーションによる外生的ショックが所得不平等や資産蓄積に及ぼす影響について,経済主体の時間的忍耐力(patience)に着目して分析を行った(発表3)。(b)動的計画法におけるベルマン作用素の存在条件を解明した(発表4)。(c)生産活動が市場部門と家庭内生産部門とにフラグメントされた経済における財政政策の動学的経済効果を分析し,両部門の代替関係が重要であることを示した(論文1)。(d)生産外部性を含んだ動学的2国貿易モデルを構築し,投資財が非貿易財で国際資本移動が可能である場合,均衡の不決定性の可能性が高まることを論証した(論文2)。 国内外の研究ネットワークの構築:(a)フラグメンテーション理論の創始者であるRonald W. Jones教授を招聘し,連続講演会(計4回)を実施した。(b)タイムゾーン理論の世界的第一人者であるSugata Marjit教授を招聘し共同研究を開始した(繰越事業として平成25年度に実施)。また同教授によるセミナーも実施した。両教授による講演・セミナー・指導助言を通じて,研究メンバーによる最新知識の習得と共有化を図った。(c)Wanida Ngienthi教授を招聘し,フラグメンテーションに関する共同研究を行った。(d)Sogang University(韓国)に赴き,フラグメンテーションに関連して「企業の組織階層と国際競争」についての調査および現地研究者との打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に沿って,学会・セミナー等を通じて第1グループ・第2グループともにそれぞれのテーマに沿った研究成果を着実に発表してきている。本年度内で採択に至ったものは少数であるが,DP・WPとして準備してきた多数の論文を内外の査読付き学術誌に投稿し,審査を受けているところである。また,本プロジェクトの研究テーマに関する世界的第一人者の招聘,共同論文の作成や研究集会・アドバイザリー等を通じて,国内外の協力者との研究ネットワークの構築も順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,各グループの研究テーマに関する討議を行う。また,さらに,研究期間の後半に入るので,これまでに獲得したグループごとの知見を再整理して,国内外における学会・セミナー等を通じて発信するとともに,内外の査読付き雑誌への投稿を継続する。また,これまでに構築してきた国内外の協力者との研究ネットワークを通じて,意見交換や討議の場を拡張・深化させ,研究の最終段階に向けた共同研究の振興を図りたい。
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