2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22243030
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
北村 行伸 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70313442)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 修 一橋大学, 名誉教授 (40051867)
安田 聖 一橋大学, 名誉教授 (70115955)
佐藤 正広 一橋大学, 経済研究所, 教授 (80178772)
黒崎 卓 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90293159)
櫻井 武司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40343769)
|
Keywords | 経済史 / 農家経済 |
Research Abstract |
平成23年度は農家経済調査のデータベース化に関しては、昭和6年~昭和16年の期間について、鹿児島県および補完資料のマイクロフィルム撮影を行い、これによって全都道府県についてのマイクロフィルム撮影が完了した。さらに、5道県(北海道、兵庫、愛媛、佐賀、神奈川)についてのデータ入力を行い、7府県(茨城、新潟、富山、山梨、愛知、島根、福岡)についてはデータベースが完成し、実証研究が可能になった。丸・草処・高島(2012)「昭和恐慌からの農村復興期における農家の資産貯蓄行動-農林省第3期農家経済調査パネルデータによる分析-」では、それら7府県11年分のデータを用いて、農家の資産選択行動を分析し、予備的貯蓄行動があったことを実証した。仙田は、同様のデータを用いて恐慌によって引き起こされた共変量ショックが、農家家計の農地利用、農外労働供給などに及ぼした影響を分析した。 また統計資料としては「農家経済調査データベース編成報告書Vol.7京大式簿記マニュアル集成」、「復刻自計式農家経済簿」を刊行した。 研究分担者および連携研究者は、各自の研究分野で活発な研究活動を行い、農家経済調査の研究の促進に寄与した。とりわけ、浅見は、戦前期農家経済調査の簿記の変遷を、インセンティブシステム設計の観点から検討した。尾関は、戦前の農家経済調査の資料論的調査を継続した。櫻井は、アフリカ南部ザンビアで集めた月次の農家家計パネルデータを大雨により農作物に大きな被害を受けた農家が、ショック後に生産資本を売却するかどうかを計量経済学的に検定するなど、戦前日本における農家経済との比較が可能になるような実証結果を得た。澤田は、同様の調査をフィリピンに行った。北村は、近年の日本の家計の資産選択行動における学歴効果や所得不平等と所得再分配機能の評価を行うことで、戦前農家経済行動の分析手法を提示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当研究はデータベースの構築を集中的に行っており、編集体制などの充実を計ったこともあり、当初の計画を超えるスピードでデータベースが蓄積されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は作成したデータベースを用いて、農家経済の諸側面、生産、消費、投資、労働、金融等に関して、多角的な実証研究を行う予定である。とりわけ、消費・投資に関しては、これまで実証研究の蓄積があり、それらとの比較も行う。
|
Research Products
(23 results)