2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22243042
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 豊 筑波大学, 人間系, 教授 (60173788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 清志 東洋大学, 社会学部, 教授 (50125978)
井上 果子 横浜国立大学, 教育人間学部, 教授 (10242372)
福岡 欣治 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 准教授 (80310556)
畑中 美穂 名城大学, 人間学部, 助教 (80440212)
三木 明子 筑波大学, 人間系, 准教授 (30315569)
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Keywords | 惨事ストレス / 自然災害 / 東日本大震災 / ジャーナリスト / 看護師 / 消防職員 / 日中比較 / 日韓比較 |
Research Abstract |
東日本大震災(以下「震災」と略記)の発生にともなって、研究計画を一部変更し、同震災の被災地職員や被災地に派遣された職員を対象にした国内の惨事ストレス調査を強化した。ジャーナリスト班は、中国上海の復旦大学の李雙龍教授の協力を得て、4都市における新聞記者らへの質問紙調査を行った。国内では、新聞労連の協力を得て、震災の被災5県の地元新聞社の記者らに対する面接調査と質問紙調査を行った。また、ホームページを充実させ、被災地で活動するジャーナリストや消防職員やボランティアなどへの、メンタルケアのあり方を説明する啓発パンフレットを公開した。面接調査では臨床心理の専門家が面接を行い、被災地で活動するジャーナリストの苦悩を聞き取った。質問紙調査は24年2~3月(震災約1年後)に実施され、120名の回答を得た。惨事ストレスケアのための啓発書も23年12月に刊行した。消防班は、梨花女子大学のAhn教授の協力を得て韓国における消防職員への惨事ストレスのweb調査を実施した。さらに、震災被災地に派遣された消防職員への質問紙調査を23年6月(震災3ヶ月後)に実施し、533名の回答を得た。IES-Rのハイリスク率が5.1%などの結果を得た。この一連の調査とは別に、全国の消防学校における惨事ストレス教育の実態を調査した。看護班は、震災の被災2県(岩手・宮城)の病院に勤務する看護職員へ面接調査と質問紙調査を行った。質問紙調査は、23年8~9月(震災半年後)に実施され、407名の回答を得た。IESRのハイリスク率は33.7%と極めて高かった。回答者の精神的健康状態が危惧されたため、この結果を回答者にフィードバックするとともに、プレスリリースし、岩手県達増知事に面会して被災地看護職員へのメンタルケアを依頼した。国際班は海外調査の支援を行うとともに、国際トラウマティックストレス学会において本研究の成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の発生により、国内調査の実施を予定より大規模にする必要が生じたが、どの班でもこれに対応できた。日本・中国・韓国の調査を計画していたが、ジャーナリスト班は日中の調査を実施し、韓国調査の準備に入っている。消防班は日韓の調査を終えている(中国の消防は軍組織になっているために実施不能)。看護班は国内調査に集中していたため、海外の調査が滞っている。看護班は24年度に台湾か韓国で調査を実施する予定。
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Strategy for Future Research Activity |
ジャーナリスト班は、韓国調査と、全国紙新聞社等の記者らを対象にした震災に関する惨事ストレス調査を実施する予定である。消防班は、既に収集したデータの解析と、国内調査の充実を図る。看護班は、中国本土での調査実施にめどがつかないという問題点が発生したため、台湾か韓国で調査を行うように方針を一部変更した。また、東日本大震災被災地の看護職員への啓発的なストレスケア研修を行う予定である。
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Research Products
(14 results)