2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 定吉 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90117705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 英子 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80378554)
高澤 光彦 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (80323822)
藤原 耕二 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60229078)
石川 剛郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50176161)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 双曲幾何 / 錐多様体 / 3次元トポロジー / 2次特性類 / 葉層構造 / 幾何構造 / 体積 / 位相不変量 |
Research Abstract |
本研究は,「幾何構造」「位相不変量」「計算」の三つをキーワードに絡め,10年後の3次元多様体論の標準的な教科書に登場するような項目を精査し,3次元トポロジーの研究を深化させることを目指している. 代表者はここ数年,曲面の自己同型写像の複雑さを計るエントロピーと写像トーラスの単体体積の間にある関係を研究し,一昨年度までに,曲面のトポロジーを指定したとき双方向から線形評価があることを証明した.さらに昨年度,自己同型写像を擬アノソフ型に絞ったとき,面積により正規化したエントロピーと写像トーラスの体積の比は面積に依らない一定の定数で下から抑えられることを,曲面のコンパクト性を仮定して示した.今年度はコンパクト性の仮定を落とことができた.その系として,小さいエントロピーを生成する多様体の有限性に関する Farb-Leininger-Margalit の定理のフルバージョンの別証明,および曲面のトポロジーを指定したときのエントロピーの最小値の評価について新しい知見を得た.この研究は,平成24年度前期に客員教授として滞在したグルノーブル大学の Greg McShane 氏との共著論文として執筆中である.研究分担者および連携研究者もそれぞれ研究課題に添う成果をえているが,その詳細は省略する. 一方,これらの座学的研究と同時に,トポロジーシンポジウムなど関連研究集会を開催するとともに,近隣研究者との間で成果の相互発表,研究動向についての情報交換を行った.これらは本研究を進める上でたいへん貴重であり有益であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書中の平成22年度の研究計画・方法中の幾何構造(とくに双曲構造),幾何学的群論の側面の項目3に「近いうちに明言できると考えている」と記した事項について,曲面に対するコンパクト性の仮定なしでまったく一般の場合に最終結論がえられた.さらに曲面のトポロジーを固定したときの最小エントロピーの既知の下からの評価を改良できた.証明はSchlenkerによる繰り込み体積を用いたが,これまでの議論で間接的に必要だった Weil-Petersson 計量が必要がなくなり,見通しのよい直接証明を与えられたことは状況のさらなる理解に貢献すると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成22年度研究計画・方法中の幾何構造(とくに双曲構造),幾何学群論の側面の項目2は一昨年 Wise,Agol により解決されたが,そこでキューブ複体の有用性が明確になった.この理論の理解を深めることを目標に加える.
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