2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギーハドロン衝突からの光子測定を可能とする電磁カロリメータの開発
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22244022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱垣 秀樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90114610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡司 卓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (10451832)
黒澤 真城 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器センター, 基礎科学特別研究員 (10462681)
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Keywords | 原子核(実験) |
Research Abstract |
HERAでのe+p衝突等によるバートン分布の研究から、小さなx領域でグルーオン密度が大きく増加していることが間接的に分かった。理論的には、グルーオン密度が高くなるとグルーオンの再結合過程により飽和すると予想され、カラーグラス凝縮(CGC)として記述される。原子核の場合は複数核子からの寄与により、顕著な飽和が予想される。このように小さなx領域(x<0.01)でのグルーオン分布関数はQCD理論的に重要であるが、主に実験データの不足により大きな不定性を持つ。CERN LHC加速器でのp+p、p+Pb衝突において前方(η=3~5)に放出される単光子や中性パイ中間子を測定することで、グルーオン密度飽和の実験的検証が可能となる。本研究では、この測定に必要とされる前方での光子測定に最適化した新しいタイプのトラッキング型電磁カロリメータを開発し、性能評価をおこなうことを目的とする。 23年度は以下に項目について実施した. (1)プロトタイプ機(メカニカル部)の建設 全体構造設計を完成させ、エネルギー測定要素(タングステン、シリコン、フレキ等から成るエネルギー測定の最小基本構成要素)の製作をおこなった。更に、信号読み出し基板を設計・製作し、プロトタイプ1号機の組み立てまで漕ぎ着けた。 (2)読み出し回路系の建設 昨年度試作したシリコンからの信号の読み出し回路ASIC(プリアンプ+シェイパー)を載せた通称プリアンプボードを設計・製作し、後段読み出し回路の設計・製作をおこなった。 (3)テスト実験によるプロトタイプ機の性能評価 CERNのPS及びSPS加速器から得られる二次ビームを用いて、プロトタイプ機の性能評価を開始したが、加速器の故障により、中途で終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた検出器プロトタイプ部品の製作、及び、信号読み出し用ASICの設計・製作を終了した。ほぼ、順当な進捗状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、本研究課題の最終年度にあたる。昨年度、検出器プロトタイプ部品の製作は完了したが、それらについて、基礎的な動作確認をおこなう。また、新たに設計製作したASIC回路をベースにした読み出し回路系を製作し、最終的にCERNにおいて粒子ビームを用いた総合的な試験を遂行し、その結果を評価する。
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Research Products
(21 results)