2011 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギーレーザー電子光ビームを用いたハドロン内クォーク相関の研究
Project/Area Number |
22244026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴志 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80212091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
與曽井 優 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (80183995)
村松 憲仁 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (40397766)
新山 雅之 京都大学, 理学研究科, 助教 (90455361)
住浜 水季 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (10396426)
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Keywords | シータ粒子 / レーザー電子光ビーム / TOPカウンター / ベクターK中間子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、励起バリオンやメソンの光生成実験を反応閾値から共鳴の影響を受けにくい3GeVエネルギー領域で行うことにより、クォークモデルでは説明が難しい特定のハドロンの理解を深め、ハドロン内で、どのようなクラスター(ダイクォーク、南部ゴールドストンボソン等)が重要な役割を果たしているかを明らかにすることである。特にシータ粒子の確立と、その生成機構の解明、ファイ中間子及びイータ中間子生成反応断面積に見られるエネルギー閾値領域のバンプ構造の解明、Λ(1405)粒子の生成機構と構造の解明を行う。 研究を遂行するために、大強度の深紫外レーザー光を用いて、LEPSビームのエネルギーと強度を改善し、また同時に検出器系の粒子識別能力を改良することにより、LEPSでこれまでに得られた発見の物理的な理解を深め、ハドロンのクォーク構造に対する新たな知見を得る。 本年度は、DUVレーザーの同時平行入射を行うことにより最高エネルギーが3GeVのレーザー電子光ビームを生成し、このビームを液体重水素標的に入射した。このデータを解析して、シータ粒子の生成断面積のエネルギー依存性を調べることができる。またTOPカウンターのシミュレーション・スタディを進め、位置検出器と組み合わせることにより、運動学的に粒子の種類が分かっているときに、精密な速度情報から運動量を十分な精度で測定できることが明らかになった。ベクターK中間子を終状態に伴うシータ粒子やハイペロンの光生成実験にこの方法を応用すると、アクセプタンスが大幅に改善する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災で実験遂行が困難になった東北大学電子光理学研究センターで遂行予定であったテスト実験を3件受入れたため、当初の予定よりは液体重水素標的を用いた実験が短くなったが、TOPカウンターの開発や既に取得したデータの解析が予定通り進んでおり、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の中心の研究対象はシータ粒子である。本年度はTOPカウンターの設置により、ベクターK中間子を伴うシータ粒子の生成を確認することを目標にするが、これまで取得されたデータの解析も同時に進め、シータ粒子の存在を確定的に出来そうな実験の可能性が開けた場合は、当初の予定に拘らず、さらに大強度ビームが得られることが分かっている2.4GeVビームを用いる等、柔軟に実験研究を進め、シータ粒子の存否を明らかにするという大目標を達成したい。
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Research Products
(2 results)