2010 Fiscal Year Annual Research Report
光格子時計のための低温光共振器を用いた超高安定レーザーの開発
Project/Area Number |
22244049
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
麻生 洋一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (10568174)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪野 公夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10125271)
洪 鋒雷 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 室長 (10260217)
香取 秀俊 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30233836)
李 瑛 独立行政法人情報通信研究機構, 新世代ネットワーク研究センター, 研究員 (30415848)
|
Keywords | 量子エレクトロニクス / 周波数標準 / 安定化レーザー |
Research Abstract |
今年度は、本研究で用いる光共振器の基本設計と、それを収めるクライオスタットの設計を行った。さらに、安定化レーザーの光源である1396nmECDLの開発と、共振器の制御に用いられるディジタル制御用システムの構築を行った。 まず、光共振器のデザインにおいては、当初の計画で用いる予定であったサファイアに替えて、単結晶シリコンを用いる場合に予想される性能、問題点の検討を行った。シリコンはサファイア同様に低温において高い機械的Q値を持ち、かつ熱伝導率も高いため、低温共振器の素材として適している。さらに、シリコンは18K付近で熱膨張率のゼロ点が存在することが知られている。これは、温度制御に対する要求値が大幅に緩和可能であることを意味する。さらに、サファイアに比べて安価で加工も容易であるため、光共振器の材料として適している。しかし、Sr光格子時計のプローブレーザーで用いる波長698nmではシリコンは不透明である。そのため、1396nmのレーザーをシリコン共振器で安定化し、それを導波路型第二次高調波発生器で698nmへと変換する方法を取ることにした。シリコンの弾性特性を用いて有限要素解析を行ない、振動による弾性変形で共振器長の変動が最小となるような共振器形状および支持方法を決定した。 また、光共振器の冷却には最近開発されたヘリウム再凝縮型のパルス管冷凍機を用いることで、極めて低振動の冷却装置が作成可能であることがわかった。本年度はこの冷凍機を組み込んだクライオスタットの設計を行った。 その他、安定化レーザー用の光源として100mW出力のECDLを製作した。さらに、ディジタル制御用コンピュータを購入し、動作確認を行った。
|