2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22247012
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉川 信也 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (40068119)
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Keywords | 生体エネルギー変換 / 膜タンパク質 / 金属タンパク質 / X線結晶構造解析 / 振動分光解析 |
Research Abstract |
チトクロム酸化酵素の酸素還元反応中間体であるP型、F型、O型の結晶の調製法について種々検討し、休止型及び還元型との酸素還元中心の構造比較を行なった。どの中間体の酸素還元中心にも2当量の酸素原子が認められた。しかし、原子間距離は水素結合距離より短かったが休止型の過酸化物の酸素原子間距離より明らかに長かった。これはP型、F型は休止型酵素結晶を過酸化水素で処理することによって調製されているため、休止型が残存しているためであると考えられる。さらに調製法の検討が必要である。ウシ心筋チトクロム酸化酵素の1.4Å分解能のX線構造解析が可能なX線回折強度データの精度を大幅に高めることに成功し、非水素原子の構造解析を行なった。その結果、酸化還元にともなって、酸素還元中心に含まれるヘムa3平面が併進すること、CuBに配位している3個のイミダゾール基のうちの1個が明らかに移動することが明らかになった。これらの変化は分子状酸素を活性酸素種を遊離させずに還元するためにCuBの機能が精妙に制御されていることを示している。 また本年度は長年の懸案であった混合原子価CN結合型結晶の調製法が確立され、X線回折実験を行い、現在構造解析が進められている。High-frequency ENDOR解析のために設計試作したクライオループに結晶を凍結し米国アルバートアインシュタイン医科大学に空輸し予備実験を行った。その結果、この方法は、X線構造解析による決定が困難な遷移金属近傍の水素原子の構造解析に極めて有望であることが明らかになった。 時間分解赤外分光法によるCO光解離後の赤外吸収スペクトルの時間変化の測定条件がほぼ確立した。またフローセルの開発もほぼ完了した。 ウシ心筋チトクロム酸化酵素のD経路の部位特異的変異解析により、ウシ酵素と細菌酵素とのD経路の構造は酷似しているが機能が異なることを示す予備的結果が得られた
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