2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22247012
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉川 信也 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (40068119)
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Keywords | 生体エネルギー変換 / 膜タンパク質 / 金属タンパク質 / X線結晶構造解析 / 振動分光解析 |
Research Abstract |
ウシ心筋チトクロム酸化酵素結晶のX線回折実験のため結晶の不凍剤浸漬条件を温度因子とモザイシテイーを指標として組織的に検討し、1.3Å分解能の構造解析が可能な回折強度データの収集に成功した。チトクロム酸化酵素反応中間体であるP型、F型、O型の構造を決定するために、混在する休止型の寄与を差し引く方法を組織的に検討した。その結果、これまで分光学的知見の全く得られていなかったCU_Bの配位構造を実験的に決定することに成功した。また、反応の進行に伴いCU_B-Fe_<a3>間の距離が明確に変化することが認められた。この結果は本酵素の機能が酸素還元中心によって精密に制御されていることを示唆している。本酵素のCO光解離後のタンパク質構造の時間変化が、長年の努力によって開発された時間分解赤外分光装置により解析された。その結果、酸素還元部位とプロトンポンプ経路との間を連結する構造が発見され、それがポンプのためのプロトンの取り込みとポンププロトンの逆流防止を実現していることを明らかにすることができた。これは時分割赤外分光法のタンパク質への応用の最初の例として注目されている。 NADH-ユビキノン還元酵素のフラビン由来のラマンスペクトルの帰属のためには還元型の測定が不可欠であるが、完全還元は容易ではない。そこでNADH還元酵素系を共存させて完全還元型を調製する条件を確立し、フラビンスペクトルの帰属に成功した。意外にもフラビンはタンパク質表面近くに結合していることが示された。 チトクロムc-チトクロム酸化酵素複合体の2次元結晶化条件の探索に長足の進歩があり、極低温電子顕微鏡解析を開始した。さらにチトクロムc-チトクロム酸化酵素複合体間相互作用のNMR解析によりチトクロムcのチトクロム酸化酵素に対する親和性は酸化還元により大きくは変化しないことにより電子伝達が制御されていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶化条件探索法に大きな進歩があったため、1.3Å分解能の構造解析が可能な回折強度データの収集に成功し水素原子レベルの構造解析が可能になった。その他の構造解析も順調に進展した。超高感度赤外分光解析によるプロトンポンプ機構に関する全く予想外の新しい知見が得られた。チトクロムc-チトクロム酸化酵素2次元結晶化に長足の進歩が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であるので、「成果のとりまとめ」も考慮して研究を推進する。
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Research Products
(25 results)