2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネの窒素同化と窒素利用機構におけるグルタミン代謝関連酵素機能の完全解明
Project/Area Number |
22248005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山谷 知行 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30144778)
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Keywords | イネ / アンモニア同化 / 窒素利用機構 / グルタミン合成酵素 / グルタミン酸合成酵素 / 遺伝子破壊変異体 / メタボローム / 代謝 |
Research Abstract |
イネ根におけるNH_4^+の初期同化機能や、イネの一生を通じて成育や生産性にとって重要な窒素リサイクル機能の分子機構と制御に関して、この窒素代謝反応に関わる全ての酵素の遺伝子破壊変異体を用いて解析を進め、窒素利用の分子機構の全貌を解明することを目的としている。NH_4^+の初期同化やリサイクルには、サイトゾル型グルタミン合成酵素(GS1)とNADHグルタミン酸合成酵素(NADH-GOGAT)が関わるが、これらは小遺伝子族を形成しており、GS1;1、GS1;2、GS1;3とNADH-GOGAT1、NADH-GOGAT2のアイソザイムが存在する。本年度は、これら酵素を欠損した遺伝子破壊変異体をそれぞれ獲得に成功した。また、GS1;2とNADH-GOGAT1欠損変異体を水田で収穫期まで栽培し、表現型を詳細に解析した。両者は、窒素欠乏様の表現型を示し、成育抑制や生産性の低下を示した。遺伝子発現やアミノ酸等の生理学的な解析結果と遺伝子破壊変異体の表現型解析を考え合わせた結果、GS1;2は根におけるNH_4^+の初期同化において極めて重要な役割を持つとともに、他のGS1では、その機能を相補できないと結論し、成果の公表準備を開始した。一方、NADH-GOGAT1は、同様な解析結果から、根ではGS1;2と共役してNH_4^+の初期同化に関与するとともに、地上部では分げつや穂の発達過程で重要な機能を持つことを明らかにした。また、NADH-GOGAr2やFd-GOGAT遺伝子の発現は、NADH-GOGAT1遺伝子破壊変異体と野生株で差が認められないことから、これらのGOGATはNADH-GOGAT1の機能を相補できないことが判明した。この成果は、国際学術雑誌であるAmino Acidsに公表した。
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Research Products
(6 results)