2011 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動による積雪変化が森林土壌の物質循環機能に及ぼす影響
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22248016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70281798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 善之 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (00353590)
宮本 敏澄 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00343012)
舘野 隆之輔 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (60390712)
菱 拓雄 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (50423009)
戸田 浩人 東京農工大学, 農学研究院, 教授 (00237091)
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Keywords | 窒素循環 / 生物地球化学 / 現地培養実験 / 土壌微生物 / 窒素無機化 / 硝化 / リター分解 / 栄養塩 |
Research Abstract |
冬季積雪レジームの違いによる土壌凍結・融解サイクルの増幅が森林土壌の窒素無機化・硝化速度に及ぼす影響を明らかにするため、現地移動交換培養実験を実施した。観測サイトは北海道(雨龍、足寄)、東北(安比、盛岡)、関東(菅名、草木)、近畿(芦生、上賀茂)、九州(椎葉、高隅)の全10地点である。土壌カラムの上下端にイオン交換樹脂を装着したレジンコア法を用いて、冬期間の現地培養実験を行った。 これまでの予備解析の結果から、冬期間に積雪が少なく低温環境下にある北海道東部の足寄サイトに全国からの土壌を移動培養することで、冬期間の正味無機化速度(アンモニウム態窒素生成速度)が有意に増加する傾向が認められた。一方で、正味硝化速度は逆に低下するという傾向が検出された。また、移動培養による窒素無機化・硝化速度の変化規模は産地土壌ごとに異なる傾向も認められた。このことは、冬季の凍結・融解環境下における土壌微生物による正味窒素生成について、アンモニウムと硝酸では変動要因がそれぞれ異なることを示唆している。そのため、次年度以降は土壌微生物活性に関係する温度・水分環境や基質となる有機物の性質についての分析を進め、冬季積雪環境変化に対する窒素無機化・硝化の応答を生じているメカニズムや地点間差を引き起こす要因の解明を進める。 さらに、積雪環境下におけるリター分解や細根生産・枯死、植生の養分吸収応答、菌食動物・病原菌の動態、シカ食害の影響等に関して各サイトで進めている野外計測や操作実験をそれぞれ実施し、最終年度に向けて成果の取りまとめや、個別研究と全体研究との関係性についての議論を進めた。また、2012年3月には第5回東アジア生態学連合(EAFES)においてシンポジウムを主催し、本研究の最新成果を発表すると同時に、国内外の研究者と情報交換や議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた現地培養実験や各個別研究は予定通りに進行している。特に現地培養実験ついては積雪・融解レジーム変化に対する土壌窒素無機化・硝化速度の応答について、全国的な傾向が検出される一方で、当初から想定していたように産地土壌による影響程度の違いも検出された。また、テーマごとの個別研究については、それぞれの進捗は認められているので、全体目的や全体仮説への関連付けを進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現地培養実験ならびに個別研究の成果を学術論文として出版し、それぞれの研究で得られた知見を統合化して全体目的や全体仮説に対するアウトプットを取りまとめる予定である。また、その過程で生じた新たな疑問や仮説を整理し、さらなる研究の発展に貢献できるような取りまとめを行う。そのため、サイト視察を含んだワークショップを開催し、現時点での到達点や具体的な作業スケジュールを確認するとともに、各研究で得られた考察や推察部分を補強するための追加実験や室内操作実験の可能性やプランについても議論する。
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[Journal Article] Gross nitrification rates in four Japanese forest soils : Heterotrophic versus autotrophic and the regulation factors for the nitrification2011
Author(s)
Kuroiwa, M., Koba, K., Isobe, K., Tateno, R., Nakanishi, A., Inagaki, Y., Toda, H., Otsuka, S., Senoo, K., Suwa, Y., Yoh, M., Urakawa, R., Shibata, H.
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Journal Title
Journal of Forest Research
Volume: 16
Pages: 363-373
DOI
Peer Reviewed
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