Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 俊介 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (50222352)
天野 勝文 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10296428)
水澤 寛太 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (70458743)
朝比奈 潔 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10147671)
安東 宏徳 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60221743)
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Research Abstract |
(1)光環境と成長の関連:マツカワにおいてcDNAクローニング済みの桿体オプシン,赤色感受性オプシン,緑色感受性オプシン,青色感受性オプシンおよび紫外線感受性オプシンについて,それぞれのcDNAを用いて発現コンストラクトを作製した。これらの成果により,組換えタンパク質を用いる遺伝子工学的手法での,各オプシンの光吸収極大の測定が可能になった。(2)光環境と成長の関連:昨年度,トラフグ幼魚(体重約100g)において白色背景色が成長促進効果を持つことを認めた。本年度は,白色背景色の効果を体重約300gのトラフグを用いて調べた。飼育後1週間で体色に違いが見られ,白色水槽の魚は黒色水槽に比べて明るくなったが,両群で体重および摂餌量に有意な差は見られなかった。総じて,成長に伴って摂餌率は減少していくが,白色背景色の成長促進効果は摂餌率の高い成長初期に強く,成長に伴って弱くなることが示唆された。(3)光環境と魚類のMCHと生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンの関連:キンギョの脳内MCH mRNA量は白水槽飼育群の値が黒水槽飼育群の値よりも約17倍高かった。すなわち,背景色とMCH遺伝子発現の関係に再現性を得た。一方,ガラス水槽で飼育していたキンギョの脳内MCH mRNA量は黒色水槽飼育群の値と同等であった.以上のより,ガラス水槽飼育魚におけるMCH mRNA含量を通常の値と考えたとき,白背地という異常な光環境においてMCH遺伝子が過剰発現していると考えられる。(4)未知の脳ホルモン遺伝子の発現に及ぼす効果:白水槽と黒水槽でそれぞれ3週間飼育したキンギョ脳を用いて,脳サブトラクションcDNAライブラリーを作製した。その中から約350個のcDNAを単離し,塩基配列を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、特定波長光が成長機能と生殖機能の調節に関わると仮定し,「脳内光スイッチ」すなわち特定波長光によるホルモン遺伝子の発現調節のしくみを解明し,さらにその応用展開を目指すことを目的としている。その遂行のために設定した研究実施計画が7割以上達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マツカワ,キンギョ,サクラマスを中心に据えつつ,トラフグとマダイも研究対象魚として活用する。研究項目は以下の通りである。(1)マツカワの成長にともなう視物質の発現,(2)マツカワの各種オプシンの吸収極大,(3)特定波長光と成長および成熟関連遺伝子の関連,(4)光強度とホルモン遺伝子発現,(5)背地色と成長および成熟関連遺伝子の関連,(6)背地色とホルモン遺伝子の関連,(7)光環境と成長および成熟の関連
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