2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22249010
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
緒方 勤 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40169173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡 雅代 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 上級研究員 (70399484)
中林 一彦 独立行政法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (10415557)
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Keywords | インプリンティング / エピジェネティクス / ヒト疾患 / メチル化可変領域 / 個体 / 胎盤 / 分子生物学的解析 |
Research Abstract |
本年度における主たる成果は以下の通りである。 ●第14染色体インプリンティングドメインの発現調節機構の解明:われわれは、第14染色体父性・母性ダイソミー様表現型を呈する患者の解析を介して、この領域からIG-DMRおよびMEG3-DMRという2つの親由来特異的メチル化を受けるDMR(メチル化可変領域)を同定していた。本年度、IG-DMRあるいはMEG3-DMRのみを欠失する患者を見出し、その詳細な解析を行った。その結果、下記のことが判明した。(1)IG-DMRは、配偶子形成過程においてメチル化パターンが決定されるprimary DMRであり、個体と胎盤の両者においてDMRとしてふるまう。(2)MEG3-DMRは、受精後の発生過程においてメチル化パターンが決定されるsecondaly DMRであり、個体ではDMRとしてふるまうが、胎盤では親由来にかかわらず比較的低メチル化状態にある。(3)IG-DMRは、直接的に胎盤における全てのインプリンティング遺伝子の発現制御を担う。(4)MEG3-DMRは、直接的に個体における全てのインプリンティング遺伝子の発現制御を担う。(5)IG-DMRは、MEG3-DMRのメチル化パターンを決定することで、間接的に個体におけるインプリンティング遺伝子の発現制御を担う。これは、primary DMRとsecondaly DMRの機能分担と相互作用を示す世界で初めてのデータであり、インプリンティング遺伝子の発現調節機構の解明に大きく貢献すると考えられる。 ●全染色体母性および父性片親性ダイソミーモザイク・キメラ患者の同定:全染色体母性および父性片親性ダイソミー患者は、インプリンティング遺伝子発現異常のために致死的であるが、両親由来ゲノム陽性細胞が共存するときには生存しうる。われわれは、世界で初めてとなる全染色体母性片親性ダイソミー細胞と両親由来ゲノム陽性の45,X細胞を有する患者、および、世界で6例のとなる全染色体父性片親性ダイソミー細胞と正常細胞を有する患者を同定し、その発症機序および表現型決定因子を明確とした。この2例を用いた網羅的インプリンティング遺伝子やDMR同定を進めている。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] インプリンティング異常と胎盤2010
Author(s)
松岡健太郎, 中澤温, 林聡, 左合治彦, 鏡雅代, 緒方勤
Organizer
第18回日本胎盤学会学術集会(第28回日本絨毛性疾患研究会と併催)ワークショップ
Place of Presentation
熊本 基調講演
Year and Date
20100930-20101001
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