2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22249010
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
緒方 勤 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40169173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡 雅代 (独)国立成育医療研究センター, 研究所・分子内分泌研究部, 上級研究員 (70399484)
中林 一彦 (独)国立成育医療研究センター, 研究所・周産期病態研究部, 室長 (10415557)
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Keywords | インプリンティング / エピジェネティクス / ヒト疾患 / メチル化可変領域 / 個体 / 胎盤 / 分子生物学的解析 / 高齢出産 |
Research Abstract |
本年度における主たる成果は以下の通りである。 ●第14染色体父性ダイソミー(upd(14)pat)表現型を招く遺伝的機序:われわれは、昨年度、第14染色体インプリンティング領域において、IG-DMR(メチル化可変領域)およびMEG3-DMRが各々胎盤および個体のインプリンティングセンターとして機能すること、また、IG-DMRが個体においてMEG3-DMRのメチル化パターンを決定することうを世界で初めて報告した。本年度では、正常核型でupd(14)pat症候群患者26例を対象とし、その発症機序を解析した。その結果、26例中、IGDMRとMEG3-DMRを含む微小欠失が3例、IG-DMRのみの欠失が1例、MEG3-DMRのみの欠失が1例、trisomy rescue (TR)あるいはgamete complementation (GC) type-upd (14) patが5例、monosomy rescue (MR)あるいはpost-zygotic mitotic error (PE) type-upd (14) patが11例、PE特異的部分的ホモダイソミーが1例、エピ変異が4例において同定された。これにより、世界で初めて、upd(14)pat表現型を招く発症機序の双胎頻度が明確となった。 ●高齢出産と片親性ダイソミー発症:高齢出産は、第一減数分裂時の不分離(M1)によるダイソミー卵子とトリソミー卵子形成のリスク因子であり、TR/GCによる母性ダイソミー発症リスクとなりうる。われわれは、まずPrader-Willi症候群138例において、欠失を99例、TR/GC[M1]を19例、TR/GC[M2]を9例、MR/PEを3例、エピ変異を2例において同定し(残る6例ではFISHのみ行い、欠失は認められなかった)、母親の出産年齢が、TR/GC[M1]群で、欠失患者群(およびその他の群)に比し、有意に上昇していることを見出した(P=1.0×10^<-7>)。これは世界で初めて、高齢出産が、主にTRを介する母性ダイソミーの発症リスクであることを世界で初めて示すデータである。 ●シルバーラッセル症候群発症機序の解析:本症候群患者150例を集積し、既知の第7染色体母性ダイソミーやH19-DMRのエピ変異解析を終了した。そして、原因不明の訳100例においてアレイCGHや次世代シークエンサーを用いた網羅的ゲノム・エピゲノム配列解析を開始した。 ●その他:新規インプリンティング領域の同定、種々のインプリンティング疾患患者における網羅的DMR解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれは、第14染色体インプリンティング領域において、IG-DMR(メチル化可変領域)およびMEG3-DMRが各々胎盤および個体のインプリンティングセンターとして機能すること、また、IG-DMRが個体においてMEG3-DMRのメチル化パターンを決定すること世界で初めて報告した。これは、いままでのすべてのインプリンティング領域において知られていなかった新知見である。また、高齢出産が、主にTRを介する母性ダイソミーの発症リスクであること、シルバーラッセル症候群150例以上を集積し発症原因を明確にしていることなど、多くの新しい知見を報告している。さらに、新規インプリンティング領域の同定、次世代シークエンサーを用いた網羅的ゲノム・エピゲノム配列解析を開始している。 現在、エピ変異発症機序の解明に取り組んでおり、最終年度にこれを明らかとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、新規インプリンティング領域の同定、高齢出産と父性ダイソミー発症の関連、網羅的DMR解析、エピ変異患者におけるメチル化領域の解析、第14染色体インプリンティングドメインの発現調節機構の解明、患者における網羅的インプリンティング異常の解析を集中して行う予定である。特に、エピ変異患者におけるメチル化領域の解析を重視し、現在次世代シークエンサーが使用可能になったことから、メチル化がDMRを含めてどこまで波及しているか、エピ変異患者のメチル化パターンが正常者やダイソミー患者と同等か否かを検討し、クロマチン立体構造に重要な配列を決定し、エピ変異発症機序の解明へと繋げたい。そして、本研究における重要課題の1つであるエピ変異発症機序の解明に挑みたい。
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Research Products
(45 results)