2011 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いた難治性呼吸器疾患の病態解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
22249031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三嶋 理晃 京都大学, 医学研究科, 教授 (60190625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (90197640)
平家 俊男 京都大学, 医学研究科, 教授 (90190173)
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10226681)
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Keywords | 疾患特異的iPS / 肺胞上皮細胞 / 特発性間質性肺炎 / 若年性肺気腫 / リンパ脈管筋腫症 |
Research Abstract |
本年度は、iPS細胞から各種肺細胞への分化を試みた。 マウスiPS細胞から肺胞II型上皮細胞への分化に関しては、ES細胞の既報に倣い、胚葉体形成、無血清培地下でのactivin等液性因子の組み合わせによりSP-C産生性の肺胞上皮細胞が分化誘導可能であることを確認した。今後マウス疾患モデルを用いた細胞治療に応用可能と期待される。一方特定の肺細胞を高純度で選別する方法の確立が必要と考えられたため、肺細胞に特異的な遺伝子のプロモータに薬剤耐性遺伝子を導入し、薬剤による選別を行う方法を確立した。ヒトiPS細胞から肺胞上皮細胞への分化に関しては、既報のヒトES細胞での手法と同様な分化誘導を行うことが困難であることが判明した。来年度以降も引き続きヒト細胞からの分化誘導を検討する予定である。 同様にマウスiPS細胞を用いて気道上皮細胞への分化の検討を行った。air-liquid interface法で培養を行うことによりFoxj-1発現性の線毛上皮細胞が誘導されることを確認した。また肺胞上皮細胞の誘導と同様に無血清培地下でiPS細胞を培養することにより、Ccsp発現性のクララ細胞が誘導されることを確認した。 難治性肺疾患の病態解明の目的で、疾患特異的iPS細胞の作成を進めている。これまで、当施設で外科的肺生検及び肺切除術を行った、間質性肺炎、COPD、気管支喘息などの症例に関し、線維芽細胞を蓄積し、iPS化を行ってきたが、本年度は、順天堂大学との共同研究として、LAM、Birt-Hogg-Dube症候群など、既知の遺伝子異常の判明している呼吸器疾患の線維芽細胞を蓄積し、iPS化の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞から肺細胞への分化の検討が、予想外に難航している。そこで、薬剤耐性遺伝子の導入を用いた肺胞上皮細胞への選択的誘導法や、新たな液性因子を用いた内胚葉細胞からの段階的な誘導法確立を試みる予定である。その他概ね計画通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続きヒトiPS細胞から肺胞II型上皮細胞への分化誘導法の確立を試みる。 難治性肺疾患の病態解明のため、LAM, Birt-Hogg-Dube症候群の疾患特異的iPSを作成し、平滑筋細胞、肺胞上皮細胞へ分化誘導、更に疾患特異的iPSが疾患特有のフェノタイプを呈するかを検討する。 iPS細胞を用いた再生治療として、肺気腫、肺線維症、急性肺傷害、気管支喘息などの疾患動物モデルを作成し、iPS細胞若しくはiPS由来の分化細胞の移入の効果を検討する。また再生治療における組織工学の応用として、気腔及び血管系の三次元構築を試みる。
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