2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22249032
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐々木 成 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60170677)
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Keywords | 輸送体 / リン酸化 / 水チャネル / 高血圧 |
Research Abstract |
1.WNKキナーゼの生理的制御因子としてインスリンを同定した。前年度からWNKキナーゼの上流に存在するシグナル系を検索してきたが、蘇原らはインスリンが培養細胞系ならびに生体腎においてもWNK-OSR1/SPAK-NCCシグナル系を制御していることを示した(PLoS ONE,2011)。 2.WNK3の腎臓での役割をノックアウトマヴスを作成して解析した。WNK3はXenopus oocyteの実験系ではNCCの制御因子と言われてきたが、生体内での役割は不明であった。よって、我々はWNK3ノックアウトマウスを作成して、その役割を検討した。その結果、腎臓でのWNKキナーゼ活性に占めるWNK3の役割は、正常状態では少ないことが示された(Biology Open 2011)。 3.OSR1のコンディショナルKOマウスを作成し、腎内でのOSR1の役割を確定した(PNAS 2011)。 OSR1はglobal KOではホモで致死となるため、腎臓特異的にKOを作成し、腎臓では主としてヘンレの太い上行脚においてNKCC2を制御していることを示した。 4.蛍光相関分光法による、WNKキナーゼとOSR1/SPAKキナーゼとの結合阻害薬をスクリーニングし、有望なシード化合物を得、それに基づき構造修飾を行い、より阻害効果の高い化合物を得た。現在は細胞系、マウスにおけるinvivoの系においてその効果を検証中である。 5.AQP11BACトランスジェニックマウスを作成した。AQP11にはHAタグがついているので、それに対する抗体により、今まで生体内のAQP11を検出できる抗体がなく検討できなかった生体内でのAQP11蛋白の挙動をとらえられるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
WNKキナーゼカスケード阻害薬は順調に有望な可能物が同定され、誘導体展開も行えている。各種遺伝子改変マウスも順調に作出できており、それらの解析により成果が十分期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、阻害薬のスクリーニングをすすめ、WNKキナーゼ以外にも対象を広げていく予定であり、すでにアッセイ系の構築は進んでいる。WNKキナーゼ系、AQP水チャネル系ともに、その生理的・病態的に重要な現象を、主として遺伝子改変マウスを用いて明らかにできており、これらの分子が絡む新たな病態が明らかになることが期待される。そして、その病態生理に基づいて、新たな治療戦略を立てられると思われる。
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