Research Abstract |
自己免疫性疾患の病因をT細胞膜上のラフト機能の面から明らかにするために,スフィンゴミエリン合成酵素(SMS1)を欠失したSMS1-KOマウスを用いて,(A)ConA誘発肝炎モデルで,自己免疫性肝炎の発症機序を解析した.(B)コラーゲン誘導関節炎モデルで,関節リウマチ(RA)の発症メカニズムを解析した. (A)自己免疫性肝炎モデル:1)SMS1ノックアウトマウスの作製と維持:HomozygoteのSMS1-KOマウスはsterile(不妊)であるために,Heterozygoteの掛け合わせで出産させ,4週齢においてgenocheckを行い,Homo,Hetero,Wildを同定する.2)各マウス群の末梢血,脾臓血,胸腺のリンパ球サブセットの解析,CD4陽性T細胞を抗CD3+CD4抗体で架橋刺激を加えた場合の,細胞増殖能,サイトカイン産生能(IL-2,IFN-γ,IL-4,IL-6,TNF-α,IL-12,IL-18),細胞内チロシンキナーゼ活性などを検討した結果,明らかにSMS1-KOマウスのT細胞機能が低下していた.ConA誘発肝炎の発症はSMS1-KOマウスで有意に低下していた. (B)コラーゲン誘導関節炎モデル:1)SMS1-KOマウス(B6系統)をコラーゲン誘導関節炎が容易に誘導できるDBA1マウス系統に交配を繰り返し,SMS1-KOマウス(DBA1系統)の継代を10代目まで行った.2)II型コラーゲンとアジュバンド投与による関節炎の発症は,有意にSMS1-KOマウス(DBA1系統)で低下していた.現在,関節炎におけるリンパ球浸潤,サイトカイン産生等を検討中である.
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