2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓移植における重水を主体とした新規臓器保存液の開発
Project/Area Number |
22249048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (60136463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (80256510)
山下 健一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (00399940)
深井 原 北海道大学, 病院, 医員 (60374344)
菅原 満 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60332467)
古川 博之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70292026)
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Keywords | 臓器保存 / 臓器保存液 / 冷保存再灌流障害 / 灌流保存 / 移植片機能不全 / 心臓死ドナー / 臓器移植 / 肝移植 |
Research Abstract |
平成22年7月までに新規臓器保存液を作成し、12月までにラット肝の冷保存・再灌流モデルで効果を確認し、平成23年3月までにイヌ肝・腎移植モデル作成、新液の効果判定のためのプレリミナリー実験を行う予定であった。平成22年12月、新液は数種類のタンパク質の活性を制御していることが明らかとなった。これらのタンパク質はアポトーシス、細胞骨格、オートファジー、エネルギー産生など、細胞の生死に深く関わるうえ、これまで冷保存での関与が明らかではなかった。この新たな発見は低温・低酸素障害の病態解明、治療法開発に極めて重要な知見であり、この新規作用の精査を優先して行なう必要が生じた。 そこで、新規作用の精査を優先的に行い、H22年度予算から直接経費340万円をH23年度に繰り越し、当初の予定を約3か月繰り越した。変更後の計画:新規臓器保存液の創出(H22.4~H22.7)、ラット肝での効果の確認(H22.8~H22.12)、新規作用の精査(H23.1~H23.3)、イヌ肝・腎移植モデル作成と新液の効果判定(プレリミナリー実験)(H23.4~H23.6)。 新規保存液は冷保存による細胞内Ca2+濃度の上昇と引き続くカルパイン、カスパーゼ3の活性化、アポトーシスを阻害することが肝臓、心臓、各種の細胞株で再現された。新液は冷保存や外因性刺激による細胞外からのCa2+流入と小胞体からの放出の両者を阻害し、重水を除去するとその効果は消失した。また、冷保存後に生存シグナル、アポトーシス、オートファジー、細胞骨格維持に関与するタンパクのリン酸化が保たれ、複数のphosphatase活性阻害と複数のkinase活性亢進が見出された。重水はこれらの機能を合目的的に生存方向へと制御することが示唆された。また、H23年度からの効果比較に使用できるイヌ腎、肝の冷保存・移植モデルを作成した。
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Research Products
(14 results)