2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓移植における重水を主体とした新規臓器保存液の開発
Project/Area Number |
22249048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (60136463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (80256510)
山下 健一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (00399940)
深井 原 北海道大学, 大学病院, 医員 (60374344)
菅原 満 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60332467)
古川 博之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70292026)
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Keywords | 臓器保存 / 臓器保存液 / 冷保存再灌流障害 / 灌流保存 / 移植片機能不全 / 心臓死ドナー / 臓器移植 / 肝移植 |
Research Abstract |
平成23年度実験目的:重水含有新規臓器保存液の最適組成を模索し、UW液を凌駕する冷保存障害軽減効果、細胞保護メカニズム、イヌの肝、腎冷保存・移植モデルでの効果、を明らかにすること。 当初実験計画:(1)in vitroの検討で至適組成を確定し(深井・菅原)、(2)エネルギー状態・解糖とミトコンドリア機能・アクチンの動態・Ca2+濃度・アポトーシス関連分子・水の動態を追求し、重水の細胞保護メカニズムを明らかにする(尾崎・深井)。(3)ラット肝冷保存(48時間)・再灌流に対する新液の効果を単離肝灌流装置(IPRL)で検討する(山下)。(4)ビーグル犬を用いた48時間肝冷保存・移植モデルを作成し、2週生存率・グラフト機能・障害を評価する(藤堂、古川)。 結果:UW液を凌駕する保護効果の新液1、2を作成し得た。新液の効果には重水が不可欠であり、解糖やミトコンドリア複合体Iの阻害、細胞質Ca2+ overload負荷で効果が消失した。また、細胞質のNa+ overload負荷はNa+/K+ ATPaseやNa+/Ca2+ exchangerの活性やATP量に影響を与えなかった。新液はラット肝48時間冷保存後の再灌流において、胆汁産生やATP産生を速やかに回復させ再灌流障害を軽減した。冷保存後の細胞・臓器の膨張やアクチンの脱重合が阻害された。イヌ肝、腎移植では強い保護効果は得られなかった。臓器の灌流不全の原因となるPEG濃度を下げることで解決すると予想された。PEGが少量の粘性の低い組成でも十分な効果が得られた(新液3)。新液3は新液2とほぼ同等の効果を有し、最終組成として今後の検討に使用すべきものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞、小動物の肝、心でUW液を遥かに凌駕する強い保護効果が得られた組成の新液2が、大動物実験でのみ奏功しなかったため、再度組成、物性を検討する必要が生じた。想定していない事象だったため、これを解決するのに時間と経費を費やしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新液2を用いた大動物実験を行い、有効性を証明できなかったため、新液3の検討を行わなければならない。しかし、大動物実験を2倍の数行うことは予算上不可能である。本課題の最終目標は大動物での有効性を示すところまでであったが、そのプレリミナリー実験までに変更せざるを得ない。大動物実験の数を制限することにより、小動物にマージナル肝での検討までは行えるように費用を確保したい。
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Research Products
(8 results)