2011 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の難治性メカニズムに基づいた先端的治療開発
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22249050
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 真二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30253420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有井 滋樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50151171)
森 正樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190999)
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Keywords | 消化器癌 / 難治性癌 / プロテアソーム / 非対称性分裂 / 低酸素 / 活性酸素 / 腫瘍形成能 |
Research Abstract |
癌細胞の特徴として一般にプロテアソームが高活性状態にあり(proteotoxic stress)、プロテアソーム阻害剤による治療効果が期待されている。我々は、難治性癌の中にプロテアソーム活性が極めて低下した少数の癌細胞集団が内在することを見出した。本研究では、プロテアソーム活性低下に伴い蛍光を発する可視化システムをヒト肝癌細胞へ導入して解析を進めている。その結果、肝癌細胞全体の約0.5%に、プロテアソーム活性が低いG^<high>分画の存在を確認した。Time-lapse解析によりG^<high>の非対称性分裂によりG^<low>が生じること、G^<low>からはG^<high>が生じないこと、G^<high>はG^<low>に比べ細胞分裂が遅いことを確認した。FACSで分離したG^<high>分画は5日間で100%→59.3%まで比率が低下し、3週間で全体の0.5%に戻り安定した。低酸素条件下の長期培養により、G^<high>細胞比率は20日間で0.5%→9.25%へ上昇を認めた。疑似低酸素条件下ではG^<high>肝癌細胞の対称性分裂が活発となりG^<high>比率が6.51%に上昇すること、抗癌剤耐性を獲得すること、低酸素誘導因子阻害剤によって特異的に抑制されることが明らかとなった。さらに活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)の細胞内濃度の解析では、G^<high>細胞はG^<low>細胞に比べ有意に低値であること見出した。G^<high>ROS^<low>細胞分画をソーティングして、NOD-SCIDマウスにおける腫瘍形成能を解析した。その結果、G^<high>ROS^<low>細胞が極めて高い腫瘍形成能を持つことを見出した。現在、DNAマイクロアレイによってG^<high>ROS^<low>細胞の網羅的遺伝子発現解析を行なっており、高腫瘍形成能の獲得メカニズム解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト肝癌に内在する高腫瘍形成能の細胞分画を、可視化・抽出することに成功しており、研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
高腫瘍形成能を持つヒト肝癌の細胞分画を可視化・抽出し、網羅的遺伝子発現解析によってその特性を同定する。可視化によってin vitro解析のみならず、腫瘍内での局在、転移などin vivo解析を進め、難治性癌、転移性癌のメカニズムを解明する。
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Research Products
(23 results)